親子のふれあいが少ないのはスマホのせいじゃなくて、忙しいから。

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娘が産まれてもうすぐ1年半近くなろうとしています。子どもがいるとやっぱり育児の話題には目がいくものです。そこでこんなニュースを目にしました。

 

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“スマホに子守させないで”(NHK NEWSWEB)

スマートフォンやタブレットPCが普及したことで、小さな子どもにスマートフォンのアプリを遊ばせたり、動画サイトを見せたりする親がたくさんいると。それに対して、日本小児科医会という全国の小児科医が集まる団体が、長時間遊ばせると健全な発育を妨げるおそれがあるということで注意を促している、とのことです。

このNHKのニュースでは、スマートフォンやタブレットPCを遊ばせることによって健全な発育をさまたげるおそれがあるということに対する根拠が全く書かれていません。なので、とりあえずその是非については何も言うことができません。


それでも、ちょっと気になった部分があります。日本小児科医会の松平隆光会長のコメントです。

「スマホを子守の代わりにするような使い方は、悪影響が心配される。親子の直接的なふれあいや対話を大切にしてほしい」

これではなんだか、スマートフォンを子どもに使わせている親は、親子のふれあいを大切だと思っていないかのような言い方です。そして、スマートフォンを悪者にしてしまうのにも、違和感があります。

 

本当に育児の現場を考えて言っているのか、スマートフォンを使わなければ問題は解決するのか、今まさに子育てをしている自分としては、とても疑問に思います。

 


そもそも、子育て市場は子守商品が人気である

こんな記事を読むと、スマートフォンが普及したせいで親が子育てを放棄しているみたいに感じてしまう人もいるかもしれませんが、そんなことありません。そんなことはないというのは、スマートフォンがあってもみんな子どもに手間をかけてるというんじゃなくて、その逆です。スマートフォンがなくなったって、ふれあいの機会が増えたりしませんよ。

子育てを初めると、途端に大量の情報が入ってくるのですぐ気がついたんですが、子育て市場の周辺には、子守ニーズがかなりあります。例えば、乳幼児のオモチャの定番、メリーってあるじゃないですか。昔からある、ベビーベッドの上でキラキラした飾りなんかがぐるぐると回るアレです。

あれをAmazonで買おうと思って人気商品のレビューを見てみると、なんて書いてあるか。メリーのおかげで子どもから離れることができるって、そんなレビューが結構あるわけです。おかげで家事ができるとか、料理ができるとか。

よく言われることですけど、テレビの幼児番組だってそうですよね。なんであれが朝と夕方やってるのか、そりゃあ観る人が多いからです。なんで観るのか、朝と夕方はテレビ観ててくれると助かるからですよ。少なくともうちは助かってます。朝は朝ごはんの支度に、幼稚園の連絡帳の記入、自分の支度だってあります。夕方は晩御飯にお風呂そうじ、うちの場合は洗濯もこの時間です。

そういう時に子どもを1人で遊ばせてくれるアイテムは、スマートフォンに限らず人気があるのです。


余裕がない子育ての現状


僕だって子どもとふれあう時間は長い方がいいと思っています。というか、良い悪いの前に、たくさんふれあいたいと思ってますよ。1歳半ですよ、天使ですよ、超絶かわいいですよ。最近よく歩くようになって、こっちにトコトコやってきて、手をギュウギュウひっぱるんですよ。動かないと泣き出すので立ち上がると、そのまま他の部屋に連れていくんです。手をつないだまま、ニコニコして。ひっぱって歩くだけで嬉しそうなんです、もう愛くる死しそう。

言葉はまだほんのちょっとですけど、絵本を読んで欲しいと、バランスを崩しながらも一生懸命自分で運んできて、「あい!」って渡すんですよ。なんなら、手を掴んで前にひっぱってから、その上に本を乗せるんです、「あい!」って。かわいいよう、かわいいよう。

でも、だからってずっと遊んであげられないんです。なんでか、余裕が無いからです。時間も、心も、体も。

 

うちは奥さんも僕も仕事していて、家事は2人で分担してます。娘は保育園に通いだしてから、すぐに病気を貰うようになって、四六時中鼻水をたらし、中耳炎が治りきらずに常に病院に通って鼻水をすって貰っています。ひとたび熱を出せば保育園にはいけなくなります。

 

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僕は、ライターですから多少予定を調整して家で看病したりもしますが、そのせいで今度は夜中に作業をするはめになります。奥さんの有給だってそのうち無くなりそうです。

毎日保育園に連れていくので早起きは当然、夕方は家事の嵐、夜はうまく寝てくれないとなーんにもできなくなります。休日は部屋の掃除をしたいし、離乳食の作りおきもしておきたい、平日の仕事がこぼれることもある。でも、天気が良ければお外に連れてってあげたい。みんなで公園に遊びに行って、帰ってくると娘よりも親の方が疲れきって、眠たくて眠たくてしかたがありません。

そんなことを毎日毎日やってると、まず体が疲弊してきて、疲れがなかなかとれなくなって、その次にちょっとのことでイライラするようになって、しまいには夫婦げんかです。

そこまで行くと本末転倒で、いっくら頑張って子育てしたって、夫婦げんかなんかしてて子どもがしあわせなわけがありません。これはマズイなと思います。


スマートフォンが問題なのか、忙しいのが悪いのか

ですから、子どもがオモチャやテレビで遊んでくれたら、そりゃあ助かりますよ。だからそういう商品が売れるんです。スマートフォンが子守に使われるのだって、そういうニーズがある、これが大前提なんです。

そこのところを無視してね、親子のふれあいを大事にして欲しいって、そんなことは分かってますよ。分かっててもままならないから問題なんですよ。スマートフォンがどうこうじゃないんですよ。みんなお給料もあんまりあがらないし、子どもの為にお金は必要だし、一生懸命働いてるけど、働けば働くほど、子どもと一緒に過ごす時間は減るんですよ。

スマートフォンみたいな新しい道具を批判することは分かりやすいのかもしれませんけど、それって解決に向かってるんでしょうか。むしろ、問題の本質から目をそらして、子育てする親を追い詰めてるだけにはなっていないでしょうか?


子育ての現場にいる人は、親が楽になることを考えている

この間、保育園でバザーがありました。保育園のバザーって素晴らしいアイデアだなあと僕は感心しました。だって、保育園に通う親はみんな子育てしてるわけで、それぞれ子どもの年齢ごとに、いらなくなった洋服やオモチャと、これから欲しい洋服やオモチャを持っているわけですから。これをマッチングするって最高です。

 

ゴミが無くなって、お金が節約できて、子どもが騒いでも気を使わなくてすむイベントで家族みんなが安心して楽しめる、1度にいくつもの問題点を解決するアイデアです。企画運営してくれている保育園の先生や、有志の父母会の方々には頭があがりません。

育児の現場に直接関わってる人って、そういうことを考えてますよ。子どもと一緒に遊ぶ時間が欲しいから、いかに家事を簡単に済ませるかとか、残業も休日出勤もしたくないからどうやってお金を節約しようかとか。ストレスがたまると体も心も壊れていくから、リフレッシュの方法を考えたりとか。そういうことが1つ1つ解決できると、子どもに使える時間も少しずつ増えていきます。

スマートフォンで子どもを遊ばせるって、ままならない子育ての現実がまずあって、それをギリギリのところで崩壊させないアイテムとして、重宝されてるんじゃないかとぐらい、僕は思っています。それでスマートフォンを悪く言うのはお門違いじゃないですか。忙しいのが悪いんですよ。それをどうにかするために知恵を絞った方が建設的なんです。

悪者を作るのは簡単ですけどね、そんなんじゃ誰も救われないのです。

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