この記事は、2019年1月12日に放送された『結チャンネル人狼 #29「視聴者全員と人狼勝利を目指す村」』の解説記事です。配信内容を詳細に書くことになりますので、まだ放送をご覧になっていないという方は、まず、配信を見てからお読みいただくことを強くオススメします。
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結チャンネル人狼 #29「視聴者全員と人狼勝利を目指す村」(niconico)
さて、配信でも話したことですが、この日、僕は原さんとの再会をとても楽しみにしていました。原さんとは、結チャンネルで初めて出会い、初対面でありながらお互いの人狼観のようなものに共感を覚え、また一緒に遊びましょうと意気投合していました。それから、また結チャンネルで共演できると分かり、僕はTwitterに喜びの声を投稿しました。すると原さんもそれに応え、同陣営で、同じ推理で勝ちたいと、言ってくれました。
ゲームが始まると、1戦目は同陣営でありながら、朝井さんが狼か村人かで意見が真っ二つに分かれ、僕が間違えていたせいで負けてしまいました。2戦目は原さんは狼、僕は霊媒師となり、原さんは僕に投票、その後僕のいない村を滅ぼし勝利を収めました。まるで、「最後まで一緒に走ろうね」と言っていた友達が先にゴールする、中学校あたりでやった長距離走のあれだなあと、僕はぼんやり思っていました。
そして迎えた3戦目、さあ、今回も長くなってしまいますが、解説していきましょう。
1日目 暗躍するいと君と謎のぽんちゃん
初日の動きはごちゃごちゃしているんですが、いくつかポイントを追っていきましょう。
まず、僕がぽんちゃんやどいどい、恵梨さんに疑われます。僕が疑われた理由は表情がこわばっているから、というものですが、なぜ僕の表情がこわばっているかと言えば、人狼陣営がうまいからです。初日、全員の様子を見渡しても、人狼らしい人が見当たらない為に、考え込んでいました。
ただ、今回はメタで推理することが可能なので、それを利用してしゃべれることはきちんとしゃべったつもりです。スナパイさん、いと君、古川さんが怪しい位置というのは、そんなに悪くない発想でしたね。
その様子、これは推理の中身というよりしゃべり方だと思いますが、メタの話をしていた僕の様子を村人っぽいと評価してくれたのは、朝井さんでした。それこそメタな話になりますが、朝井さんは僕が村人らしい振舞いをしている時に、村人だと分かる人です。2戦目でも、朝井さんはすぐに僕を真霊媒だと断言していましたね。朝井さんには分かるんです。逆に、分かるはずの朝井さんが難癖をつけて疑ってくると、今度は僕が違和感を感じて、朝井さんの人狼を見破れます。実はこのパターン、結チャンネルでも何度かやっています。この関係があるので、朝井さんは周りの人がどう思っていようと、僕の村人要素を拾ってしまったら、素直に村人だと認めないといけません。なので、人狼でありながら、疑われ気味の僕を庇ったと思われます。
いと君は僕を村人と見ているので、同じように僕のことを村人だと言った朝井さんも村人だとみている、という発言をしましたが、これはおそらく逆です。序盤に疑われたスナパイさんをいと君は庇ってますね、ここでもう1人スナパイさんを庇っているのが朝井さんです。スナパイさんや朝井さんに狼のあたりをつけていたので、朝井さんが庇っている僕も狼の可能性を考慮して庇った、ということだと思います。朝井さんの僕への庇い方は、僕と朝井さんの関係を知らない人だと、いまいち理由が分からず、理由が分からないと狼同士の庇いあいに見えますね。
さて、1日目の他の要素として、ぽんちゃんの謎について話しておく必要があるでしょう。ぽんちゃんは面白い人です。勘が鋭く、思い込んだら一直線、村が滅ぶような大クラッシュをすることもあるので、彼女の人狼力を低く評価している人もいるかもしれませんが、僕は今回の放送で彼女をよく観察してみて、こういう強さもあるな、と思いました。
ぽんちゃんが初日に考えたことは3つです。1つ目、僕が難しい顔をしているので人狼だと思った。2つ目、結さんがスナパイさんに素村だと言われた時に、それまで何か言いたそうにしていたのにも関わらず、しめしめという感じで手をポンと叩き、「…分かってるね」と返しています。これを、嘘をつく準備をしている人だから、人狼だと思った。そしてイト君と自分の推理があっていないので、人狼だと思った。この3点です。ものすごい乱暴ですが、違和感自体は間違っていません。違和感を感じて即人狼に結び付けてその後細かい考察をしていないのが色んな意味でスゴイですが、後々、彼女のこの野生の勘と猪突猛進の姿勢は人狼にとって脅威となります。
ちなみに、結さんはこのやり取り以降、スナパイさんを村人と判断するようになります。これもあとから重要なポイントになります。
投票はぽんちゃんと恵梨さんから僕に2票入ります。この時、僕は顔がこわばっていた理由を説明しつつ、昼議論でも怪しんでいたスナパイさんに投票します。この投票はスナパイさんが怪しいという意外にも意味があって、僕が明らかに疑われているにもかかわらず、カミングアウトもせず、なおかつ2票入っているどいどいには入れず、その時1票も入っていなかったスナパイさんに投票するということは、狼の行動としてはあまりに無防備なので、あえてその選択をしていました。
その後、2票自分に入っているどいどいが、僕に3票目を入れてきました。どいどいの白アピールは、疑われた時に反論が少ないのは生存意欲が少なく、狼ではない、というものでした。僕は必ずしも自分を疑ってきた人を狼とは考えませんが、どいどいは意見を言えなかったのは生存意欲が薄いから、としていたにも関わらず、2票入っている僕に票重ねるのは自分が生き残るための投票に見えてしまい、矛盾を感じます。なので、どいどい狼あり得るなとこの時点で考えました。その後めーやさんが、意見が聞けなかったという理由でどいどいに3票目を入れ、決選投票となります。
どいどいが狼あり得ると判断したので、決選投票では思いっきりパッションを出して、どいどいを処刑しにいきました。しかし残念ながらどいどいは狼ではありませんでしたね。
その他細かいところで2つ、ポイントになる投票についてピックアップします。結さんがめーやさんに投票していますね。理由は、ピカクロスさんの好みの人狼スタイルを持つ男性だから、です。なんだか微妙な投票理由に思えますが、こういう視点の結さんはむしろ鋭い場合が多いですね。前にも書いたことがありますが、結さんは現場におちている証拠を丁寧にロジカルに検証するよりも、頭の中にある妄想から考える方が力を発揮する変な人狼力を持つ人です。
そして、そのめーやさん。めーやさんは、あまりしゃべっていないということを理由にどいどいへ投票していて、それ自体別段おかしな行動ではありませんでしたが、これがなんと後々に致命傷になります。結さんだけではなく、手の付けられない野生動物に目をつけられてしまいました。
2日目 突撃ぽんちゃんを見る結のまなざし
朝になると、恵梨さんが襲撃されていました。恵梨さんは僕を疑っていた人なので、後から僕のことを処刑に持ち込む布石ともいえます。
古川さんが、1日目の決選投票を2人とも村人と見て、どいどいに投票した人をあらいます。どいどいに投票した人は、朝井さん、めーやさん、武中さんでした。すごいですね、朝井さんとめーやさんが人狼で、武中さんが霊媒師という組み合わせです。朝井さんが僕を疑えないということもあって、どいどいは、人狼から見て分かりやすくスケープゴートの位置になっていました。
ここで武中さんがまさかのカミングアウト、能力が何かは明かしません。続いて結さんも「能力者ですよ…」とカミングアウトします。結さんはいつもシラフでいながら、ほろ酔いみたいな人ですが、この時はまさしくほろ酔いフワフワな感じでしたね。
2人が同時の能力を明かすと、結さんが占い師、武中さんが霊媒師でした。そして、2人のほかに対抗が出てこないという事態です。結さんの占いは、初日に知っていた村人が原さん、そして2日目に占ったのが古川さんで村人判定でした。
この日の議論は人狼が潜伏して情報を絞っているのでなかなか明快にはならないんですが、ポイントを絞ってみていきましょう。
ポイント1 能力者が2人しか出ていないことについて。占い、霊媒、ともに1人ずつしか出ていません。なおかつ、初日が決選投票でカミングアウトするタイミングがあったことから、どいどいが能力者であった可能性は極めて低いです。答えを言ってしまうと、人狼及び狂人が全員潜伏しているからなんですが、村人側からするとなかなかそうと決められるものではありません。そこで昨晩襲撃された恵梨さんが、占い師、霊媒師、あるいは狂人だった可能性を考慮する必要を原さんが指摘します。人狼側もそれを承知なので、隙あらば結さんの信用を落としにかかります。狂人のいと君は結さんを真占い師と判断して、信用できないとはっきり言いきっていますね。
ポイント2 てらちんが2人目のスケープゴートにされる。古川さんが、どいどいは村人だっただろうと考え、前日どいどいに投票した人を洗います。朝井さん、めーやさん、武中さんの3人です。見事にここに人狼が2人入っていました。前日は議論に積極的に入れなかったどいどいが人狼のスケープゴートにされた形でした。人狼側は、今日例えば結さんと武中さんのどちらかが吊れれば嬉しいですが、対抗を出していない以上それは非常に難しいので、もう1人、占い判定の出ていないいわゆるグレーの村人を処刑したいと考えます。その時、2日目のスケープゴートとしてあがったのがてらちんでした。てらちんは、1戦目、2戦目ともに村人側だという理由で狼があり得るとされ、さらに、1日目の投票が遅かったことも疑いの理由とされていました。
ポイント3 人狼側が潜伏し、なおかつ結さんの信用を落としにかかったことで、副作用的にスナパイさんが疑われます。結さんが偽物の占い師だった場合に、結さんの仲良しであり、なおかつ、人狼側をやっていない実力者のスナパイさんが人狼であるというのは、とても納得のいくストーリーに思えます。
投票はスナパイさんとてらちんの勝負となりますが、てらちん、僕、古川さん、いと君がスナパイさんに入れ、人狼の3人であるスナパイさん、朝井さん、めーやさんがてらちんに投票、さらに武中さんが原さんに託す形でてらちんに投票してスナパイさんとてらちんを同票とし、最後原さんが、初日から怪しんでいたてらちんに投票しててらちんが処刑されます。ただし、この時の原さんはスナパイさんとてらちんのどちらかに1人人狼がいる、という考え方で、先にてらちんの方を消した、という選択だったように思います。
この日、人狼側は2人目の村人を処刑して王手をかけました。非常に人狼有利に見えたかもしれませんが、実は、その分の代償として、スナパイさんを全力で守るためにはっきりとラインが見える投票をしてしまいました。誰か1人が見つかれば、芋づる式に負けるリスクのある投票です。
そしてリスクはジワジワと人狼に忍び寄っていました。1つは朝井さんについて。投票中、古川さん、武中さん、原さんが朝井さんを疑う発言をしています。これがとても重要で、結さんからすると、古川さんと原さんという村人判定を出した2人が疑っているというのは、貴重な情報になります。朝井さんはめーやさんとスナパイさんをはっきりと庇う発言をしていますし、もちろん投票もスナパイさんを避けててらちんに入れています。その朝井さんが疑われるのは、狼にとって危険な状態です。
そしてもう1つ、台風の目ぽんちゃん。相変わらず大暴れしています。ぽんちゃんは、1日目に結さんは嘘を準備しているから人狼、と決めつけて、その結さんがカミングアウトしたからやっぱり人狼だった、と確信していました。さらに、1日目の投票で、めーやさんが、自分もあまりしゃべれていなかったにも関わらず、同じように情報が出せていないどいどいに投票したのはおかしいとして、今度はめーやさんが85%人狼だと言って投票します。確かに、自分がしゃべれていないのに、他の人がしゃべれていないことを理由に投票するのはあまり筋が通らないでしょう。しかしそれだけで、85%で人狼だと言ってガンガン殴りに行くというのが、ぽんちゃんのすごいところですね。結さんに対しても、めーやさんに対しても猪突猛進そのものです。
村としては、僕も含めて、またぽんちゃん始まったな、ぐらいの温度なんですが、唯一それを支持したのは、ぽんちゃんから疑われていた結さんでした。これはねえ、その時はあまり注目されてなかったんですが、僕は後から見直してみて、感心しましたよ。さすがの結さん、結さんの人狼観、人間観、人柄が出ていると思いました。
ぽんちゃんは結さんが初日に嘘をつく準備をしていたと言って疑っていましたが、結さんは、スナパイさんの話に乗っかって、自分は素村だという嘘をついていたので、ぽんちゃんの疑いはもっともであり、逆にきちんと観察をしていた村人であると判断します。その上で、ぽんちゃんがいれためーやさんに自分も票を重ねます。
結さんは、ぽんちゃんの言っていることが当たってるか当たっていないか、ロジカルであるか破綻しているか、自分の味方をしてくれているか敵対しているのか、というようなゲーム的な面だけで捉えず、ぽんちゃんという人間と相対し、ぽんちゃんがどうして自分を人狼だと思ったのかきちんと考え、当たっているか外れているかの先まで見ていました。ぽんちゃんは猪突猛進で、その突進の方向を間違うと大クラッシュすることもありますが、無意味に暴れているわけではないことを理解して、自分への突進は間違いだけど目の付け所はあっている、そしてめーやさんへの突進はちゃんと正解を当てていると判断していました。
おそらくぽんちゃんは2戦目の突撃プレイもあって、作為側からすると村をかき回す間違った村人役を期待されていた面があると思いますが、今回狼にに致命傷を与えるのはぽんちゃんであり、そのぽんちゃんをたった1人、きちんと、本当にきちんと見ていた結さんなのです。
ちょっと話ずれるんですけどね、こういう風に見てくれる人だから、結チャンネルに呼ばれるのは嬉しいんですよ。自分の中身をちゃんと見て呼んでくれているなって伝わるから、僕は結チャンネルで思いっきりはしゃげるのです。
3日目 結の演説
襲撃は騎士に阻まれ、誰も欠けることなく朝を迎えました。
武中さんの霊媒結果はてらちんに村人判定、そして結さんの占い結果は朝井さん人狼です。結さん見事的中でお見事でしたが、朝井さんも神速で騎士カミングアウトします。素晴らしい反応速度、朝井さんはこれができる人なんですよね。夜のうちに、自分が占われる場面を想定していたのかもしれません。しかし、結さんからすると朝井さんは偽物であり、そして騎士が襲撃阻止に成功していることから、本物の騎士が生存しているはずなので、本物のカミングアウトを促します。すると、古川さんが朝井さんの対抗の騎士として登場。朝井さんも古川さんも霊媒師の武中さんで護衛成功を主張します。ここで、武中さんがほぼ真霊媒師であると村から判断されます。
その真霊媒師である武中さんが、昨日処刑されたてらちんを村人判定していることから、人狼が王手をかけている状況なので、今日は朝井さんを処刑するか、結さんを処刑するか、選ばなければいけません。
考え方は3つあります。
1つは、結さん真占い師で、古川さんが真騎士、そして朝井さんが人狼のケース。昨日処刑されたてらちんは村人判定であり、かつ、朝井さんが投票しているため、てらちんに投票していた他の人、スナパイさん、めーやさん、原さんの中に人狼がいるという可能性が濃厚になります。なおかつ、原さんは朝井さんを疑う発言をしていたので、スナパイさん、めーやさんが怪しくなり、人狼側は大変危険です。
2つ目、いと君が主張しましたが、朝井さんが本物の騎士で、結さんが狂人占い師、古川さんが人狼の騎士説です。そもそも2日目、なぜ占い師と霊媒師が1人ずつしかでなかったのか。恵梨さんが真占い師で、結さんが偽物だったとしても、もう1人騙りが出る方が自然です。そこで、結さんが2日目の占い結果で古川さんに村人判定を出していることから、結さんが狂人で人狼である古川さんを囲うことができたため、それ以上人狼側が騙りで出る必要がなくなった、という推理です。ただしこれは朝井さんを守るためか、ちょっといと君らしくない、無理のある推理でしたね。
古川さんが囲われた人狼だったとして、狂人が騎士に黒を出してしまったのを助ける為に、囲われた人狼が騙りで助けにいく、というのが不自然に思えます。この場合、結さんを見捨てて処刑し、朝井さんを襲撃で良いように思えます。むしろ結さんを積極的に処刑することで、その後人狼は有利に展開できる立場を得るでしょう。
3つ目、朝井さんが本物の騎士で、結さんが人狼占い師、古川さんが潜伏狂人の騎士騙りのパターン。この場合、恵梨さんが真占い師となり、人数の帳尻があいます。また、古川さんが潜伏狂人で、人狼のピンチにきちんと出てきたというのは、いかにもやりそうではあります。結さんを人狼と見ると、2日目から言われていた、結さんスナパイさんラインが怪しくなり、そこに投票していない原さんも怪しい位置に来ます。
この日、真贋を確かめる材料として結さんの発言が大変に重要になるんですが、昼間の結さんは、実は言っていることは間違っていないのですがあまり上手にしゃべれませんでした。朝井さんを占った理由についても、朝井さんを疑っている人がいたことを挙げていましたが、肝心の誰が疑っていたかについては原さんしか出てきていませんでした。また、初日の投票が遅かった人が怪しい、ともしていましたが、初日は朝井さんの方が結さんよりも先に投票しています。結さん投票時点で残っていた人は、古川さん、めーやさん、どいどい、いと君、てらちんでした。その為、朝井さんに、自分は投票は真ん中ぐらいだったはずだ、と主張を返されてしまっていました。
投票が始まると、スナパイさんが真っ先に朝井さんに投票します。結さんが処刑されれば勝ち、という場面なんですが、スナパイさんは初日から結さんに疑いを向けていませんし、結さんからも疑われていませんでした。朝井さんに狼判定が出たことで、自分がラストウルフになる場面も想定して動いていたと思います。
さらに結さん、古川さん、武中さん、いと君が朝井さんに投票。朝井さん、ぽんちゃん、めーやさん、僕が結さんに投票し、この時点で朝井さん5票、結さん4票となります。ちなみにぽんちゃんはこの日結さんに投票する時も、めーやさんが狼だと言い続けていました。ものすごい執念です。しかし、めーやさんが結さんに投票したのを見て、大変に驚いていましたね。結さんとめーやさんを狼だと疑っていた自分の勘が片方外れていたことを知った瞬間です。
2日目まで一致団結した人狼陣営ですが、朝井さんが人狼判定を受けたことで、2手に分かれます。村人側は、猪突猛進のぽんちゃんが結さんに突進している他、僕が間違えたことで結さんを危険にさらしてしまいます。疑ったら突き進む猪突猛進のぽんちゃんはともかく、僕はここで大間違いをしてるんですね。僕の間違いで村が滅んでもおかしくありませんでした。しかし、まさしくこれは怪我の功名で、ここで1回間違えたことは、村に勝算をもたらします。
最後に投票した原さんが、朝井さんを疑いつつも、結さんが真占い師であるならばなぜ噛まれずに残っているかという疑問を提示して結さんに投票し、決戦投票にしました。
決選投票の弁明で、朝井さんは、原さんにお礼をいってその意見にすがりつきます。結さんが真占い師であるならば、襲撃を受けずに残っているのはおかしいと、原さんが最後に言った意見を繰り返しました。一方結さんはというと、やっとゆっくり考える時間と、おちついてしゃべる時間をもらって、整理されていました、そして、憤っていました。結さんが人狼で、古川さんが潜伏狂人だった場合、恵梨さんが真占い師になります。恵梨さんが真占い師だったとして、初日の投票は何票目に入れているか、君らは分かっているのかと、2票目なんだぞ、それは真占い師であるとすればあまりにうかつではないかと主張します。そしてそれを考慮しないで結さんに投票するのはおかしいと強く非難しました。
この2人の主張を聞いて、僕は結さんに投票していた自分の意見を逆転させました。自分の論を展開せず原さんの主張をそのまま借りて話す朝井さんはいかにもらしくないと思いましたし、結さんの主張は筋が通っていて、気持ちが伝わり心を打ったからです。同じタイミングで、僕と全く同じことを考えていた人がいます。それは原さんです。
決選投票で朝井さんが処刑となり、ここからようやく村人が反撃を開始します。
4日目 めーやさんがあきらめた理由
襲撃は前日に騎士に護衛されていた霊媒師の武中さんではなく、なんと騎士の古川さんでした。武中さんの霊媒結果は、朝井さんに狼判定。そして、結さんの占い結果はめーやさんに狼判定です。
議論が始まると、昨日の投票についての確認が始まりましたが、そこで僕と原さんは、通常投票は結さんに入れたけど、結さんの弁明はパッションがあったし言っていることが正しかったから変えたよね、ということをサラッと共有しました。表面上はサラッと話しただけではありますが、ここで僕は原さんと心が通じたな、分かりあえたな、と思っていました。
その後、狼判定を受けためーやさんが話を振られると、特に言うことはないと、ほとんど負けを認めて諦めたような形になります。確かに、朝井さんに狼判定が出たうえで、結さんに占われるというのは絶望的ですが、もうちょっと頑張ってパッションだそうよと、みなさん思ったんじゃないでしょうか。もちろん僕もそう思いました。でもこれ、違うんです、めーやさんの作戦でした。
この時、どういう展開になっているかというと、朝井さんが結さんに狼判定を受けて処刑されてしまいました。その時、めーやさんは結さんに投票し、スナパイさんは朝井さんに投票しています。そしてその夜の襲撃、霊媒師の武中さんを襲わず、騎士の古川さんを襲って結果を見せています。
ここで狼陣営は、結さんの真占い師を認めた上で、朝井さんを早めに切ったスナパイさんをラストウルフとし、僕かぽんちゃんを処刑するプランにしたわけです。初日から結さんには疑いを向けず、結さんからも村人だと思うと言われていたスナパイさんをアシストするためには、どうせ助かりそうもない命の使い方として、いっそ結さん占いを極めてはっきり確定させて死んでいくのが良いとめーやさんは判断したのでした。
あの時はそれこそ僕も、なんであきらめちゃうんだろう、おかげで分かりやすくなった、と思っていましたが、めーやさんは全く諦めていなかったんですね。風前の灯火となったその命をどう使うのか、考えて諦めたふりをしていました。めーやさん、爽やかなのにくせ者でいいですね。面白いです。
この日スナパイさんは、僕を処刑して勝つか、ぽんちゃんを処刑して勝つか、方針を決めようとしていました。僕が霊媒が残されていたことについて、「普通に考えたら、昨日仲間切りしていたことを見せようとしている?」と言ったので、決選投票で朝井さんに投票している僕がわざわざ仲間切りの可能性を提示したことで、疑いにくいと判断して、ぽんちゃんを処刑して勝つプランにしたようです。人狼ゲームで人狼が村人を処刑に持ち込むためには、多くの場合において論を展開して村人を納得させて投票を誘う必要があります。その為、人狼は誰を処刑したいかという都合と、自分が組み立てる論のすり合わせをしなければいけません。それがこの場合のスナパイさんにおいては、僕よりもぽんちゃんだったということなんですね。
投票は当然めーやさんに集まりますが、投票の最中にいと君が、僕を黒塗りしてきます。昨日の決選投票で、結さんから朝井さんに変えたのが怪しいという理由です。いと君も人狼の作戦を察して、僕かぽんちゃんを処刑するプランに乗ったんでしょうね。しかし、ぽんちゃんはそれこそ2日目から意味が分かんないぐらいメチャクチャにめーやさんに殴りかかっているので、そうなればターゲットは僕です。狂人としての仕事をこなしに来ています。ただ、惜しむらくはここでスナパイさんがぽんちゃんをターゲット、いと君は僕をターゲットにして別れてしまったことです。スナパイさんは、スナパイさん、いと君はいと君で自分の人狼観から出てくる論の展開があり、それがかみ合いませんでした。
僕の視点からすると、僕はこの日の議論の最初の時点で、原さんと一緒に結さんから朝井さんに票を変えた理由に関する共有を済ませていました。そしていと君はそこについてきていないなということを再確認して、イト君を人外だと判断しました。ここはもういと君も、自分が生き残る必要はなく、僕と刺し違えてでも殺しに行く、その為の動きを始めていたんだと思います。
この日はめーやさんと村人の思惑が一致して、めーやさんが処刑されました。
5日目 いと君の突撃
この日の襲撃は結さんでした。
議論になると、3日目の決選投票で結さんの弁明から投票先を変えたことを、4日目の朝に僕と原さんで共有し、心が通じ合ったと感じたとおり、原さんは僕を村人だと信じてくれていました。また、霊媒師の武中さんも、僕が必要以上に朝井さんへの投票を自分の白要素としてアピールしなかったこと、またどいどいとの決選投票でカミングアウトをしなかったことなどを総合的に判断して、村人と信じてもらえていました。
いと君は、初日から朝井さんが僕を村人だと言っていたこと、また、投票でもめーやさんも朝井さんも僕に入れていないこと、さらには初日に僕を疑っていた恵梨さんが2日目に襲撃を受けたことも持ち出して、僕を狼だと主張しました。この主張自体は間違っていないですね、さすがきれいに筋が通っています。
いと君にとって厳しかったのは、僕が武中さんと原さんから信用を得ていたこと、そして、スナパイさんが僕ではなくぽんちゃんをターゲットにしていたことでしょう。僕を沈めようとしても票が集まりきらない雰囲気でしたね。
僕はというと、結さんの弁明で心を動かされたという話が通じなかったことと、どいどいとの決選投票でカミングアウトをしなかったことを言っても、意見を変えないどころか、全く迷いもしない様子を見て、村人はないと確信しました。
しかし、いと君のこのぽんちゃん並みの突撃は、別の扉を開きます。
投票は、ぽんちゃんが「中間を取って…」と謎の言葉を残していと君に投票。ぽんちゃんは僕を疑っていたのですが、初日から疑っているいと君が僕を執拗に攻撃するのを見て、考えに変化が出てきたようです。潜伏狂人があるとすれば、いと君だと説明します。スナパイさんは4日目に決めたプラン通りぽんちゃんへ。いと君はもちろん僕へ、僕はもちろんいと君へ。
ここで、原さんがイト君の必死の突撃をみて意見を変えます。武中さんと原さんが信じると明言している僕への突撃は、ラストウルフがやるにはあまりにコスパが悪い、と考えます。実際、いと君が僕を処刑に持ち込むのは相当難しい状況だったでしょう。その難しいことを必死にやっているのをみて、イト君処刑を1日待つと言って、ぽんちゃんに投票します。
これでぽんちゃんが2票、いと君が2票で、残る1票を持つ武中さんに託された形です。これで武中さんがぽんちゃんに投票すると、村が負けてしまいます。しかし、武中さんは、いと君がラストウルフにしてはコスパの悪い突撃をしているとしても、潜伏狂人の線は捨てきれないとして、いと君に投票しました。ピタリ、正解ですね。
この日はいと君が処刑されます。
6日目 原と田下
この日はもう投票の話だけでいいかな。
めーやさんを2日目からずっと殴り続けていたぽんちゃん。4日目に朝井さんに入れ続けたスナパイさん。
ぽんちゃんがめーやさんを2日目の段階から殴り続けたのは、村人としてもあまりわけが分からず、人狼で仲間を相手にやっているとしたら、本当に意味不明なレベルです。バーサーカーとしか言いようがありません。猪突猛進のぽんちゃんは、自分の道をひたすら信じるがゆえに、結果として村人らしくなっていました。
一方、スナパイさんが朝井さんを切ったタイミングは見事で、武中さんを残して結果を見せて、騎士の古川さんを亡き者にし、次の日確実に占い師の結さんを襲撃するという計算されつくした手でした。しかし、計算されているからこそ、テクニカルな技が使えるスナパイさんが狼で、全て仕組まれたものであるという考えが信ぴょう性を帯びてきます。
僕は、ここまでのロジックは積みあがっていて、後はもうそれを原さんと2人で信じ切ることができれば勝ちだと思いました。スナパイさんはぽんちゃんに入れ、ぽんちゃんがスナパイさんに入れます。僕は、原さんにスナパイさんが狼であることを訴えた後、原さんに投票することで、自分の票を手放し、原さんに全てを託します。
この行為を、放送用のエンタメだと思っている方も多かったかもしれませんが、僕はそんなことは考えていません。勝つために必要な最善の行為をしたと思っています。僕は、結さんと朝井さんの決選投票で、結さんの弁明を聞いて心を打たれ、票を変えました。この時、原さんと心が通じ合ったと思ったのです。この気持ちこそが、村に勝算をもたらすと思ったのです。
人狼は人間同士がやるゲームですから、どんなにロジックが組みあがっていても、迷いや、勘違いや、その場の焦りで、思いもよらない結果を招くことがあります。実際、これまでも、そして今回の結チャンネルでも、思いもよらぬ結末というやつをみんな観ているはずです。
だから、ロジックが組みあがっていれば、後はお互いにそれを信じきれることこそが1番大事だと思ったのです。原さんは試合の前にTwitterで、2人で同陣営で、同じ推理で勝ちたいと言ってくれました。僕もそう思いました、それを今果たす時だと思ったのです。その気持ちを原さんに余すことなく伝えることができれば、原さんは僕と同じ気持ちで決めてくれると、それこそが勝算であると、そう信じて、原さんに投票を託しました。
結果、原さんも、僕と通じ合ったあの瞬間を大切にとっておいてくれて、スナパイさんに投票し、スナパイさんが処刑され、村の勝利となりました。嬉しかったなあ、今まで人狼やってきて1番嬉しかったかもしれません。そして今も、原さんと気持ちが通じ合って勝てた喜びをかみしめています。
巧妙に人狼をサポートしたイト君、狼判定をだされても瞬時に騎士カミングアウトをした朝井さん、諦めることで自分の命をスナパイさんの為につかっためーやさん、ラストウルフとして計算されつくした襲撃をしたスナパイさん。見事な人狼でした。その見事な人狼相手に、原さんを信じて勝てたことが本当に、本当に嬉しく思いました。