『結チャンネル人狼 #34「奇策歓迎!気さくな奇策村」』解説。奇策だらけの奇策村

正直、最初企画を見た時は、何かダジャレで、でもルールは特別なことのないノーマルな人狼で、もしかしてネタ切れかなと思いました。気さくな奇策村。全くそんなことありませんでしたね。結さん、疑ってごめんよ。 

 

人狼は、特に似たようなメンバーでずっと遊んでいる時に起こりがちですが、何回もやり続けていくと、戦術が固まっていく傾向があります。初日の動きはこう、カミングアウトが4人出た時はこう、霊媒師が3人出た時はこう、と、もう決まったように動く人もいますし、ややもすると、繰り返された動きから外れただけで、処刑の根拠にされてしまうというようなことすら、ままあります。

 

自分の信じる最適解を追求していくのも遊び方の1つですが、より多彩な戦術によって見たことのない展開が起きていく人狼というのも、とても魅力的だと僕は思います。そんな楽しい人狼を目指して、気さくに奇策をしよう、というのが今回の奇策村のコンセプトでした。

 

良いですね、実に良いです。この人狼はより自由に、幅広いプレイを可能にします。そして、やってみると、大変に難易度の高いゲームになります。みながだいたい同じスタイルでプレイを続ければ、論理を組み立てるのは簡単です。しかし、ひとたび誰もが自由で変幻自在のプレイを始めると、可能性は大きく広がり、追うべき論理展開の数は膨大となり、脳の回転が間に合わなくなっていくのを感じます。そして、そこでの騙しあいは、本当に楽しく、刺激的なものとなりました。

 

というわけで、今回は2019年6月8日に配信した『結チャンネル人狼 #34「奇策歓迎!気さくな奇策村」』の2回戦を解説していきたいと思います。例によって、全てネタバレの解説となりますので、まだご覧になっていない方は、アーカイブ動画を観てから読むことを強くお勧めします。

 

【関連サイト】

#34 奇策歓迎!気さくな奇策村 第2戦目 前編(結チャンネル)

 

 

それでは、今回はいつにもまして長くなりますが、ぜひお付き合いくださいませ。

 

 

1日目 全員ギドラ

冒頭申し上げた通り、この村は、自由で、奇策にあふれ、混乱し、そして難しい村でした。

 

初日は、スナパイさんの提案した、まさに奇策、全員ギドラからスタートします。ギドラというのは、ゴジラなどの映画に登場する3つ首の竜のような怪獣ですね。もしかしたら、使われている場所によって微妙に違ったりもするかもしれませんが、僕の知識では、人狼においては、3つ首のギドラにならって、3つの立場をカミングアウトし、そして、3つの立場から情報を出すトリッキーな手法、です。今回スナパイさんは、全員が2種類の立場をカミングアウトしよう、と提案します。3つは流石に多すぎて分けわからなくなりますからね。

 

まず先陣を切って、飴猫さんが「占いと護衛」を宣言すると、その後はいっきにみなカミングアウトを続けて、少々混沌とします。把握するのはなかなか難しいですね。ちょっと気にしておきたいのは、大塚さんが「村人と占い師です」と宣言すると、それに被せる形でスナパイさんも「僕も村人と占い師です。大塚さんが白です」と言います。占い師カミングアウトをした人は何人かいましたが、初日にお告げで教えてもらえる村人が誰かを言ったのはスナパイさんだけでした。この時、村人は、他の人の宣言とは別に、スナパイさんだけは本当に占い師カミングアウトをしたと認識したようです。

 

まず、メガネさんが、カミングアウトの中に人外、つまり人狼や狂人が入っていた人を起立させます。対象となったのは、メガネさん、ぽんちゃん、めーやさん、原さん、結さん、そして僕です。

 

原さんは「人狼、狂人」と宣言していました。自分で宣言してしまったが、と前置きして、人狼は、自分の事をわざわざ人狼か狂人なんてい言うはずがない、と、周りの人に思ってもらうために、わざと「人狼、狂人」というかもしれない、という話をします。原さんと同じように人狼狂人と言った人物がもう1人いて結さんです。

 

それを聞いたスナパイさんは、「人狼、狂人」と言った2人は、ボディガードの護衛が入りにくいことから、襲われやすく、襲われやすい位置にいったことから、役職者の可能性は薄いと主張します。この推理は、村にとってこの時点であまり必要のない推理です。例えば、翌日原さんや結さんがカミングアウトした場合に、襲撃されやすい位置なのにカミングアウトせず一晩過ごしたのは怪しいから、狼の可能性が高い、と主張するなら分かります。しかし、この時点でこの推理を明かしてしまうと、狼が役職者を探す手伝いをしているだけになります。

 

ただし、スナパイさん、実は狂人なんですね。なので、むしろ狼が役職者を探す手伝いをしていたかもしれません。そもそも、全員ギドラも、村人にとって情報が落ちると同時に、狼にとっても役職者を探す情報が落ちる作戦です。抜け目ないスナパイさんですから、「狼よ、うまく情報を使えよ」とアシストしていたとも考えられます。

 

結さんが、人狼の立場にたって考えた場合に、占い師とか、霊媒師とか、騙るための役職をいれたくなるんじゃないか、と主張したことから、今度はカミングアウトの中に占い師が入っている人物が起立することになります。

 

カミングアウトに占いを含めたのは、大塚さん、めーやさん、スナパイさん、もやしさん。めーやさんは人狼ですね。

 

もやしさんは、自分が「占い、霊媒」とカミングアウトしたが、人狼も、騙りやすいように、占い、霊媒と言ったんじゃないか、と推理します。が、占い、霊媒の組み合わせでカミングアウトした人は、もやしさんだけでしたね。

 

上記の人たちにちょっと遅れて、飴猫さんも占い師に加わります。周りから何故遅れたか聞かれると「自分がなんて言ったか忘れちゃった」といいわけをします。改めてカミングアウトしていいよと勧められると、もやしさんに続く形で、占い、霊媒とするんですが、飴猫さん本当は、占いと護衛、といの一番に宣言してるんですよね。この時点で、僕が狂人、村人で騙る気配なし、めーやさんが占い師を選択しているので、どさくさに紛れて霊媒師の可能性をぶっこんでいました。抜け目ないですねえ。

 

占い師カミングアウトが出そろったところで、メガネさんがスナパイさんの行動に言及します。スナパイさんは、カミングアウトする時、大塚さんに村人判定を出しています。この行動をメガネさんは良くないのでやめてくれ、と言いました。なんでかというと、村人判定が狼に当たった場合、狼の目線でだけ、その人が本物の占い師でないことが分かるからですね。これすごく鋭いです。スナパイさんは狂人なので、むしろ狼にあたれ、と思って村人判定を撒いたんだと思われます。

 

スナパイさんはこの意見に対し、占い師とカミングアウトした人物が、占い結果を言わない方がおかしいと反論します。そもそも論を言うと、ギドラというのは、複数の立場をカミングアウトしたら、その複数の立場から情報を出していく戦術なので、そういう意味ではスナパイさんの言っていることは、筋が通っています。ただし、この時点で本気でギドラしている人はスナパイさんぐらいだったかもしれません。

 

ピカクロスさんが、潜伏を決め込んでいる人狼は、役職に人狼と入れている可能性が高く、騙りたい人狼は占いと言っている可能性が高い、と指摘します。本物の人狼3人のうち、飴猫さんとめーやさんは占い、僕は狂人を宣言しています。人狼と狂人の違いはあるものの、さすがピカさん、大筋の考え方はあっています。

 

ピカクロスさんの主張を検証するため、もう一度人狼を主張した人物、結さんと原さんに起立してもらいます。しかし、結さんも原さんも狼らしいそぶりが全然ないことから、ピカクロスさん、狼と主張した人ではなく狂人と主張した人を怪しみます。するどい!

 

ここで僕が、村、狂人と宣言した理由を、人狼は占い、霊媒と言いたいはずなので、村人がそこに混ざることによって範囲が広がってしまう、ということを根拠にしました。これ別に、何も嘘はなくて、わりと本当にその方が村人有利だろうなと思ったので、村人目線の行動を取るためにそうしているんですが、この後の投票時に、狼が保身のために言い訳をしているんじゃないか、と言われてしまいます。

 

さあ、投票です。かなり狼の分が悪い投票ですね。先ほど説明した通り、村、狂人と言った理由を説明したことが保身だと受け止められた僕と、また、あまりしゃべれていなかっためーやさんに投票が集まります。

 

僕に2票、めーやさんに3票集まった時点で、めーやさんが改めて、ムラタさんを村人だと知っている占い師だとカミングアウトします。ちなみに、この時めーやさんに入れた人物は、投票の早い順にメガネさん、大塚さん、ムラタさんでしたが、大塚さんはめーやさんに投票する際、メガネさんが村人だと知っている占い師だとカミングアウトしています。ですから、大塚さんのカミングアウトにめーやさんが対抗カミングアウトした形となりました。

 

続いてぽんちゃんがめーやさんに投票。ぽんちゃんはまず、霊媒師と宣言した人だけ、その中に人狼がいるかどうかの精査がされていなかったため、霊媒師と宣言した人が怪しいと言います。そこから、ピカクロスさんやムラタさんが怪しいと言いますが、ムラタさんは村人判定をもらってしまったから、といってめーやさんに投票します。

 

これ、ものすごくおかしな投票です。僕ら人狼陣営はこの異常性に気がつくべきでしたね。ぽんちゃんは、ムラタさんは怪しいけれど、ムラタさんはめーやさんから村人判定をもらってしまっているから、しかたがなくめーやさんに投票する、ということをしています。めーやさんの占い結果を尊重してめーやさんに投票する、というのはすごく変な話です。また、初日に占い師カミングアウトした人に投票する理由にしても雑すぎます。

 

なんでそんなことができるのか。2つ視点があります。村人陣営から見ると、この行動は明らかに矛盾に満ちていて、狼が真占い師を殺したくてつい投票してしまったようにも見えます。しかし、狼から見る逆です。ぽんちゃんの行動は村人としては理屈がおかしく、狂人としても、寡黙だっためーやさんが狼である可能性を考えればリスキーです。とすれば、はい、真占い師だったら、めーやさんが偽物だと分かり切っているので、ぽんと投票できてしまいます。

 

人狼陣営はこのぽんちゃんの異常行動に気がついて、この日ぽんちゃんを襲撃するべきでしたが、残念ながらこの時点では気がつけていませんでした。

 

めーやさんに4票集まった時点で、スナパイさんが占い師を撤回し、僕に投票します。スナパイさんは狂人なので、めーやさんに人狼の可能性を感じ、僕に投票することで回避を試みます。僕も人狼なんですけどね。

 

もやしさんが飴猫さんに投票、原さんが僕に投票。これでめーやさんと僕が同票となります。最後に票を持っていたのは飴猫さん。人狼が最終票で、人狼と人狼のどちらかを処刑するという投票です。飴猫さんは占い師をカミングアウトして、初めから知っていた村人は結さんだと明かし、めーやさんに投票します。どちらに入れても人狼が1人いなくなるわけですが、めーやさんに投票したことで、潜伏している人狼の方を残しつつ、翌日の霊媒結果で霊媒師は飴猫さんを真占い師よりに見る可能性がかなり高くなりますね。狼はかなりピンチだったんですが、スナパイさんの全員ギドラに続く2つ目、最後まで冷静に票を持っていた飴猫さんによる「狼が狼を決定票で殺す」という奇策で、1日目が終わります。

 

 

2日目 飴猫さんはスナパイさんに村人判定

襲撃はメガネさんでした。狼からすると、大塚さんがかなり真占い師に見えるんですが、めーやさんが処刑された上に、大塚さんを襲撃すると飴猫さんの命も危うくなるので、大塚さんは襲撃できません。メガネさんは大塚さんが初日から知っていた村人なので、大塚さんの村人判定を減らしにいく襲撃です。

 

昨日占い師カミングアウトしていた大塚さんと、飴猫さんの占い結果をききます。飴猫さんは、スナパイさんに村人判定。襲撃した大塚さんの村人判定であるメガネさんに結果を被せて情報を増やしません。一方大塚さんはというと…占い師カミングアウトを撤回して霊媒師にスライドしました、3つ目の奇策、大塚さんの霊媒スライドですね。めーやさんの結果は狼です。

 

この結果と同時になんとスナパイさんが霊媒師カミングアウト。4つ目の奇策、スナパイさんが占い撤回からの霊媒スライド。めーやさんの結果を村人と判定。これで霊媒師が大塚さんとスナパイさんの2人になりました。

 

この時点で現場はそこそこ混乱気味なんですが、追い打ちをかけるように、突如いきり立ってカミングしたのははぽんちゃんです。「霊スラはだめ! 霊スラはだめだわ!」といって占い師カミングアウトをしました。すごいカミングアウトの仕方ですね。わけわかんないですが、別に奇策ではありません。しかし、このわけわかんない感じが逆に、真占い師のそれで、狼からすると困ったもんだなという感じです。ぽんちゃんが演技で、この極めて不可解な憤りを表現できるとしたら、たいしたもんです。

 

さて、ピカクロスさんに一喝されて落ち着きを戻したぽんちゃん、占い結果は、初日村人だと知っていたのがメガネさん、2日目ムラタさんを占って村人でした。

 

この日、とても大事なことは、飴猫さんとぽんちゃんが2人ともめーやさんに投票していることを、どう考えるかです。

 

飴猫さんは独自の見解をかなり強く押し出します。飴猫さんとぽんちゃんは両方ともめーやさんに投票していますが、狂人であれば、人狼を処刑する可能性があるめーやさん投票はこわくて出来ないはずだ、というのが飴猫さんの出発点です。飴猫さんは狂人が非常に上手なプレイヤーです。狂人が狼に利するための行動が、推理の軸になっています。

 

ぽんちゃんがめーやさんに投票できていることから、狂人はあり得なく、従って飴猫さんから見てぽんちゃんは人狼、人狼ぽんちゃんがめーやさんに投票していると考えると、めーやさんは狂人、めーやさんに狼判定を出している大塚さんは偽物になるので狼、残ったスナパイさんが真霊媒師、というのが飴猫さんの考えです。飴猫さんの説は、飴猫さんとぽんちゃんがめーやさんに投票できた理由がきれいに説明できています。

 

初日にスナパイさんが僕に投票を入れたことについて、大野さんが突っ込みます。狼仲間だから、めーやさんに入れられず、ろくに理由も言わず田下にいれたのではないか、という指摘です。これに対するスナパイさんの反論は、占い師騙りをしていた霊媒師の状態で、投票を3票もらっている人間が占い師がカミングアウトしたので、このまま占い師騙りをしていると真占い師が処刑されてしまうかもしれないから、占い師を撤回し、役職者への投票を回避、その先が田下であった、という説明です。これはこれで、きちんと筋が通っています。スナパイさんは狼を守る投票行動をしつつ、それを正当化する理論武装もしていて、問われれば即座に出てくるところが見事です。見習いたいプレイですね。

 

最後、大塚さんが、飴猫さんに、ぽんちゃんと大塚さんは何に見えるかと聞いて、飴猫さんは当然人狼だと答えます。

 

さあ、投票です。今日は大塚さんか、スナパイさんかです。各々の占い師と霊媒師の間に決定的なラインはできていないはずなんですが、飴猫さんが強く大塚さんを狼だと主張したことで、飴猫さんとスナパイさん、ぽんちゃんと大塚さん陣営の格好になっています。

 

大塚さんに投票したのが、スナパイさん、もやしさん、飴猫さん、原さん、ムラタさん、結さん。スナパイさんに投票したのがピカクロスさん、大塚さん、ぽんちゃん、そして僕ですね。結果、大塚さんが処刑されました。

 

僕はこのタイミングで、飴猫さんと意見を割っておきます。飴猫さんがもし圧倒的に信用を取れるのであれば、それはそれでよし、一方でぽんちゃんが信用を取った時に備えで飴猫さんと意見を違えておくことが保険になると判断しています。また、初日にスナパイさんが僕に投票していることも、スナパイさん投票のいい理由になります。

 

大塚さんは遺言で、まず、自分が狼だった場合に、占い師から霊媒師にスライドすれば、飴猫さんが真占い師だった場合に絶対的に不利になり、不自然である点、なおかつ、ぽんちゃんも狼だった場合、大塚さんが霊媒師にスライドした後、即座にぽんちゃんが騙りで占い師で出てくることも不自然である点、この2点を強調しました。

 

この日の特に大事なこと、スナパイさんはめーやさんに村人判定を出し、飴猫さんはスナパイさんに村人判定を出しています。この試合、飴猫さんのスナパイさんへの村人判定はたびたび忘れられたまま村人の推理が進みます。正直に告白すれば、村人だけでなく、僕もうっかり忘れたまま推理をしていました。

 

 

3日目 もやしだけが気づいている

襲撃は結さんでした。占い結果は、ぽんちゃんが結さんに村人判定、飴猫さんが僕に村人判定、霊媒結果はスナパイさんが大塚さんに狼判定。

 

議論を整理していきましょう。この日何が起きているかというと、2日目は飴猫さんが大塚さんと強烈に対立した上で、大塚さんが処刑されました。じゃあ、この流れで大塚さんとぽんちゃんが偽物、飴猫さんとスナパイさんが真占い師と真霊媒師ということになるかというと、みんなそうとも思っていないんですね。大塚さんを処刑してはみたものの、ぽんちゃんのふるまいが偽物のそれに見えないと思っている人がかなりいて、その直感を補うように、ぽんちゃんが狼でない理由を探しています。

 

その中には、正しいものもあれば、実はあまり正しくないものもありました。詳しく見てみましょう。

 

大野さんの説。スナパイさんは初日、霊媒師の視点でもめーやさんを処刑できたはずじゃないか、という主張。占い師が3人カミングアウトしてたんだから、占い師から処刑して良かったはずだといいます。カミングアウトや撤回が入り乱れているので分かりにくいんですが、スナパイさん投票時点では占い師カミングアウトは2人になっていました。大塚さんがめーやさんに投票しながら占い師カミングアウト、票をもらっためーやさんも占い師カミングアウト、もともと占い師カミングアウトをしていたスナパイさんが、占い師を撤回して、めーやさん投票を避け、僕に入れた形です。2人の占い師は両方とも投票時に出てきますから、この時の勢いで占い師を処刑するのは怖い、という主張はそれほどおかしくなさそうです。ただ、大野さんの直感自体はあっていて、スナパイさんはめーやさんが狼である可能性を考慮して投票を避けたはずです。

 

ピカクロスさんの説。ぽんちゃんが狼だった場合、初日のメガネさん襲撃に違和感があるという主張。メガネさん襲撃は役職者を狙ったものであり、初日は占い師が3人カミングアウトしているんだから、ぽんちゃんが狼であれば占い師を襲撃すればよいはず、という話です。これ、実は僕は現場でちゃんとは理解できていませんでした。後から動画で精査しましたが、この主張は微妙だったかもしれませんね。

 

初日の最後は、スナパイさんが占い師カミングアウトを撤回し、飴猫さんとめーやさんと大塚さんが占い師カミングアウトしているタイミングです。ぽんちゃんが狼だった場合、仲間の狼は大塚さんの可能性が断然高くなります。なぜなら、ぽんちゃんは初日にめーやさんに投票し、二日目にスナパイさんに投票し、飴猫さんが対抗なので、敵対行動をとっていない相手が大塚さんだけなんですね。ぽんちゃんと大塚さんが狼だった場合は、飴猫さんを襲撃すると、この時点では占い師にカミングアウトをしている大塚さんの立場が危うくなると考えるはずなので、役職者でない人を狙うのは自然な流れです。

 

大野さんの説その2。大塚さんが霊媒にスライドした後、ぽんちゃんが占い師カミングアウトは、タイミングがシビアで、狼同士がやったとは思えない。はい、これは印象論の範疇ではありますが、その通りなんですね。狼陣営としてはあまり触れたくないトピックでしたが、大野さんと、そしてもやしさんも、このことにかなり強くひっかかっていました。

 

ピカクロスさんの説その2。大野さんの言う通り、大塚さんとぽんちゃんが両狼で2日目の大立ち回りをしているのが不自然だとして、大塚さんの真霊媒師を追うと、めーやさんが狼となり、めーやさんに決定票を入れている飴猫さんが真占い師である可能性が出てくる。飴猫さん真占い師、大塚さん真霊媒師とすると、スナパイさんが飴猫さんから村人判定をもらっている為狂人となり、ぽんちゃんが狼となって、狼が狼に投票していることになるのが難しいところです。

 

この日の議論は、初日のメガネさん襲撃を理由にぽんちゃんが狼である可能性が低いとしているピカクロスさんの論が、かなりの時間を使っています。この論には、人狼の内訳と投票行動の整合性について穴があるので、人狼陣営はそこをついてピカクロスさんとぽんちゃんを責める格好にするべきでしたが、詰め切れませんでした。スナパイさんは奮闘していましたが、僕は前述のとおり、ピカクロスさんが言っていることが理解しきれていませんでしたね。無念です。

 

投票は本人以外の票が全てスナパイさんに集まって、スナパイさん処刑となりました。この日、飴猫さんはうっかりミスをします。それは、スナパイさんに投票したことです。

 

この時現場では僕も気がついていないんですが、飴猫さんはスナパイさんに投票しちゃいけないんです。これに気がついたのがもやしさんでした。もやしさんは、飴猫さんの視点でどのパターンでもぽんちゃんが狼になるはずで、その場合に飴猫さんがスナパイさんに入れたのがおかしい、よってぽんちゃん本物だと主張します。これ、正しいんです、ほとんどの人がここに辿りつけていないなか、もやしさんだけ一足先に真実にたどり着いていました。素晴らしい推理力ですね。また、その場合のラストウルフを原さんとしています。

 

 

3日目夜 分かれる意見 

3日目夜、襲撃先を巡って僕と飴猫さんは意見が分かれています。僕はこの日、ぽんちゃん襲撃を提案しているのです。飴猫さんはこれを拒否します。飴猫さんが拒否するのは当然の話で、ぽんちゃんを襲撃すると、飴猫さんは破綻するからです。ぽんちゃんを襲撃した場合に何故飴猫さんが破綻するかについては、後で詳しく話すことにして、ここではぽんちゃん襲撃を提案した理由の方を説明しておきます。

 

僕が何故ぽんちゃん襲撃を提案したのか、おそらく翌日、飴猫さんは持たないだろうと判断したからです。真実に近づいているもやしさんを別にしても、多くの村人が心情的にぽんちゃん真占い説を支持していました。そして、論理的な結論から飴猫さんを疑うというよりも、ぽんちゃんが本物っぽいという直感から、その直感を裏付ける論を探しているように思えました。そういう村人の直感をこれからくつがえすのはなかなか容易ではないだろうと思ったのです。

飴猫さんはこれを拒否して、もやしさんを指名しました。ということは、飴猫さんが生き残って勝つ道を二人で選択した、と、僕は理解しました。

 

 

4日目 飴猫vs大野

襲撃を受けたのはもやしさんですね。占い結果は、ぽんちゃんがピカクロスさんに村人判定、飴猫さんはもやしさんに村人判定。飴猫さんは、占い理由として、もやしさんが投票理由の時に、飴猫さん視点でぽんちゃんは必ず狼になる、と言ったことを挙げ、自分はそんなこと言ってないのに捻じ曲げようとしている、と飴猫さんはいいますが、ここには嘘があります。前述の通りもやしさんは正しいのです。詳しくお話しましょう。

 

もやしさん以外ちゃんと追ってる人がたぶんいないんですが、飴猫さん視点ではぽんちゃんは狂人にはなりません。

 

ぽんちゃんが狂人の場合、飴猫さんが村人判定を出したスナパイさんは真霊媒師となります。飴猫さん真占い師、スナパイさん真霊媒師、ぽんちゃん占い師騙りの狂人。そうすると、残っている大塚さんとめーやさんは、人狼以外にあり得ません。しかしそれではおかしなことになってしまうのが、スナパイさんの霊媒結果です。スナパイさんは2日目に霊媒結果でめーやさんに村人判定を出しています。ここで破綻が起こるんですね。

 

もしかすると、飴猫さん自身気がついていなかったかもしれません。しかし、堂々ともやしさんは怪しいことを話していたと言い切ったことで、もやしさんからラストウルフを疑われた原さんもそこに同調してしまいます。

 

占い師の占い先を整理すると、原さんと大野さんが全く占われていないことが分かります。この日は、原さんと大野さんの審議というよりは、飴猫さんとぽんちゃんの審議なんですが、大野さんが飴猫さん偽物説をおしすすめることで、大野さんと飴猫さんのどちらかが狼、という対立構造が見えてきます。

 

大野さんの意見は、2日目に飴猫さんが大塚さん処刑をかなり強く誘導したことに違和感があるというものでした。あの日飴猫さんの視点では、大塚さん真の可能性も十分にあったはずなので、ぽんちゃん処刑ならわかるが、大塚さん処刑は理解できない、また、それならスナパイさんでも良かったはず、という主張です。

 

飴猫さんは、狂人は狼を処刑するのが怖くてめーやさんには投票できないというのを1つ、そして、自分は占いでスナパイさんに村人判定出しているというのをもう1つの理由として、大塚さん処刑には妥当性があるとし、また、2日目は占い師ではなく霊媒師を処刑する流れだったので、ぽんちゃん処刑を提案しても通らなかったはずだと反論します。

 

これは、論理的に検証したとすれば、飴猫さんが正しいんです。もやしさんのところで説明した通りです。飴猫さんからみて、ぽんちゃんが狂人だと、スナパイさんの霊媒結果と矛盾を起こしてしまうので、ぽんちゃんは狼しかあり得ません。ぽんちゃんが狼だとすると、ぽんちゃんが投票しためーやさんは狼である可能性は低く、めーやさんが狂人、大塚さんを狼とする方が自然です。しかし飴猫さんは、この時点でこの論理に気がついていたとしても、つまびらかには説明できませんね。なぜなら、それはもやしさんの主張が正しかったことを証明し、スナパイさんに投票したことが間違いだったことが明らかになってしまうからです。

 

結果、大野さんからすると、飴猫さんは2日目に大塚さん強く誘導していることについて、そこまでの確固たる根拠がないように見え、そこから飴猫さんに疑いをかけます。きっとご主人様を殺してやっちまったと思っている狂人なんだ、だからその失敗を取り返そうとして必死に大塚さんを処刑しに行ってるんだ、そう考えていました。

 

さあ、投票です。

 

 

原さんは、大野さんを疑ってぽんちゃんに。ピカクロスさん、ぽんちゃんは飴猫さんに。僕は迷ったふりをしつつ、ムラタさんに託すとしてぽんちゃんにいれます。これは託すふりですね。万が一ムラタさんが間違ってくれれば御の字です。しかし、ムラタさんははっきり飴猫さん投票を決めていました。

 

そして、ここでムラタさんが仕掛けます。ムラタさんはぽんちゃんが真占い師だと確信していると言います。その上で、自分は騎士で、今日ぽんちゃんを守り、これでチェックメイトだと宣言します。これは実は嘘、最後の奇策、ムラタさんによる村人の騎士騙りです。

 

ぽんちゃんが真占い師だった場合、占われてない人は、僕、原さん、大野さんです。この中から1人を占い、残る2人を2日かけて処刑すれば村人の勝利が確定します。

 

飴猫さんが処刑されて、最後の夜がやってきます。

 

 

4日目夜 ムラタの罠

さあ、困りました。本当に困りました。特に困ったのは、ムラタさんがあのタイミングで仕掛けてきたことです。これはやられてみるとよくわかるんですが、投票の最後の最後で、襲撃先を迷わせるような仕掛けをすると、狼は考える時間が足りなくて追い込まれるんですね。

 

短時間に考えることが山ほどあります。

 

まず、ムラタさんが言っていることが真実で、ぽんちゃんを襲撃した場合、ムラタさんが護衛成功し、ぽんちゃんに襲撃が入ったことでぽんちゃん狼説が無くなり、僕か大野さんか原さんが占われて、負けが確定します。

 

もし、ムラタさんが騎士カミングアウトが騙りだった時、この場合も、ぽんちゃんを襲撃した場合にムラタさんとは別の騎士に護衛される場合があります。このケースでは、ピカクロスさんが騎士であり、さらに自分とムラタさんが占われてなく、さらにムラタさんを騎士騙りをした狼として最終日に処刑することで、ギリギリ勝ちがあります。しかし極めて細い勝ち筋です。

 

では、ムラタさんを襲撃した場合はどうでしょう、ムラタさんが騎士騙りで、本当の騎士に護衛された場合、さらに最悪の展開かもしれない…と考えているところで、ふと思います。

 

もうこの時点で、僕はムラタさんの仕掛けにおびえていて、踊らされているんじゃないか。そう、僕は完全にやられていました。ここまでの思考は全て負け筋の確認です。負け筋を踏まないようにすることは大事なことではありますが、負け筋をどんなに丁寧に確認したところで勝てはしません。わずかに残された貴重な時間に勝ち筋を探さないで、負け筋の確認に使わされてる時点でもうダメ、全然ダメ、負け犬の思考、敗北者一直線の全ダメ負狼なんです。その時点で、ぽんちゃん襲撃とその後の展開について考えることをあきらめました。

 

その場では気がつきませんでしたが、後から動画で検証してみると、これは運のよいことに正しい選択でした。実はぽんちゃん襲撃は、どのパターンでも勝てないんですね。ぽんちゃんを襲撃すると、成功しようが、失敗しようが、ぽんちゃんが狼でないことが確定します。ということは、ぽんちゃんは偽物なら狂人ということになりますが、今まで何度も説明した通り、ぽんちゃん狂人は論理破綻によりあり得ません。つまり、ぽんちゃん真占い師確定となります。

 

ぽんちゃんが真占い師に確定すると、村人判定をもらっているピカクロスさんとムラタさんが除外されて、容疑者は大野さん、僕、原さんになりますが、このうち僕と原さんは4日目にぽんちゃんに投票していて、一方大野さんは昼間の議論から飴猫さんの行動を不審だと言って譲らなかった人物です。その行動から大野さんを除外すれば、僕と原さんを順番に処刑すればいい、ということになって負けてしまうんですね。だから僕はぽんちゃんを狼にしないと勝てませんし、襲撃してはいけないんです。

 

この時は、そこまで読み切ってはいません。ぽんちゃん襲撃に後の展開を読み切ることをあきらめ、ムラタさんにやられた、と思いながら、ぽんちゃん偽説で勝つしかないと思って、ピカクロスさんを襲撃します。

 

 

5日目 村人の嗅覚

さあ、最終日、ピカクロスさんが襲撃され、ぽんちゃんが僕に狼判定を出します。この日は、誰も正しく読み切っている人がいませんでしたね。正しく読み切ってる人はいませんが、僕が人狼であることは全員が分かっていた、そういう日でした。わりと珍しいことかもしれません。

 

まず、ムラタさんが僕視点での最悪の展開をききますね。僕は質問の意図がつかめなくて頭真っ白になってますね。というのも、この村は初日から能力者しか処刑していないので、人外が2人残っていることが確定なんです。

 

その時、ムラタさんが「ぽんちゃんが…」といって、ぽんちゃんが自分で「狂人じゃない?」と言いますが…ぽんちゃん狂人はあり得ないんですね。僕も含めてですが、おそらく誰もこのことには気がついていません。

 

大野さんが僕に、初日の投票をききます。僕の投票先はスナパイさんでした。ぽんちゃんは、そこでスナパイさんを真と考えて、めーやさんを狂人、飴猫さんと大塚さんを狼と考えますが、だとすると、飴猫さんが初日に大塚さんの対抗に出た上、大塚さんを徹底的に偽物扱いしているのが不自然ですね。

 

大野さんは、飴猫さんを狂人だと考えています。飴猫さんが狂人の場合は、ぽんちゃんを真占い師とおくと、めーやさんは狼となり、スナパイさんも狼となります。僕の投票をふりかえると、初日、2日目、3日目もスナパイさんに投票していて、かなり不自然です。

 

僕の論は、飴猫さんが真占い師、大塚さんが真霊媒師、スナパイさん狂人、ぽんちゃんとめーやさんが狼というものです。これは、初日にぽんちゃんがめーやさんへ4票目を入れているのが非常に不自然なんですが、飴猫さんが狼でも不自然でしょ、というのが僕の主張です。もっとも、飴猫さんがめーやさんに投票するのが不自然だからと言って、ぽんちゃんがめーやさんに票を入れることが問題なくなるわけではないので、これは屁理屈の類です。

 

ちなみに、口が裂けても言えませんが、めーやさんが狼の時、飴猫さんが狼でも、ぽんちゃんが狼でも全く不自然じゃないケースが1つだけあります。それは、僕が狼の時ですね。僕とめーやさんが両狼で、ふたりとも票をもらっていて、めーやさんが占い師カミングアウトをした場合、残った1人の狼はめーやさんに入れる方が自然で、それが今回の真相です。僕は狼の時、自分の不利な事実であっても、はっきりと明らかにしたうえで勝負するスタイルですが、今回ばかりは無理です。僕がその説を口にすれば、その通りだと処刑されるだけでしょう。僕はそれを隠して話をしなければいけないことに大変な息苦しさを感じていました。

 

投票は、村人全てが僕に入れて、処刑されてしまいました。

 

村人は直感的には正しいことが分かっているんですが、論理的に正しい道筋についてはたどり着けていません。なのでもし、僕がこの1つ1つの穴に対して適切に返すことができていたら、少しの可能性はあったかもしれません。しかしこの時それらすべての矛盾に即座に気がついて返す、ということはできませんでした。これは力不足という他ありません。

 

今、これを書いていても、今回の村は、把握するのがとても難しい村でした。そして、奇策てんこ盛りの村でした。初日の全員ギドラ。狼仲間に対抗カミングアウトをしながら、その狼仲間にとどめを刺した飴猫さん。初日占いカミングアウト、その日のうちに撤回し、2日目霊媒カミングアウト、実は狂人のスナパイさん。占い、霊媒、実は狂人で、見事3つそろってギドラ成功です。素晴らしい。そしてムラタさんの騎士騙り。これにはやられました、あの騙りで、思考が固められてしまい、牢獄に入れられたかのように身動きが取れなくなりました。

 

しかし、面白い村でした。結さんが言う通り、気さくに奇策をしていい村は、自由で、思いもよらないことが起きて、そして、色んな可能性があるからこそ、推理がとても難しい村でした。しかし村人は、多少推理に穴があったとしても、狼のニオイに確実に気がついて、近づき、追い詰めていきましたね。それもまた、人狼の醍醐味でしょう。僕は人狼側で、奇策に翻弄され、村人の嗅覚の良さにおびえ、最後まで逃げ惑うばかりでした。でしたが、とても面白い、ドキドキのある村でした。