2010年

3月

17日

ゲーム屋さんが選んだ良作ゲーム

日本テレビゲーム商業組合、という業界団体があります。これはいわゆる家電量販店や、オンライン通販などを除く、ゲーム専門店、またゲーム、DVD、書籍などのソフト複合店の集まりです。ざっくばらんにいうと、街のゲーム屋さん達の組合とでも申しましょうか。

 

この、日本テレビゲーム商業組合さんが主催するゲーム販売研究会という勉強会に僕は昨年から参加させていただいています。そこでは、ゲーム販売に関する情報交換をしたり、データの検証をしたりと色々やっているんですね。で、このたび、そういった活動の一環として、面白いのに認知が低く売れていない良作タイトルをお店がユーザーにプレゼンテーションして売っていこう、という取り組みをはじめましたので、ご紹介したいと思います。

 

 

たくさんの中から面白いゲームを探すのは、なかなか難しいものです。そこで、良作ゲーム情報ををお店から発信していこう、という試みなんです。
たくさんの中から面白いゲームを探すのは、なかなか難しいものです。そこで、良作ゲーム情報ををお店から発信していこう、という試みなんです。

中身が良いものが売れる環境を作る

 

良作販売の概要としては、実際にプレイをして自信を持ってユーザーにオススメできる作品を選ぶということが大前提です。さらに、売上10万本以下のタイトルであることを条件につけています。

 

良作の基準は、発売されているタイトルの中から、完全無欠の神ゲーを選出するというようなものではありません。そういうゲームの議論じゃなくて、お店の人が面白いゲームを見つけてお客さんに伝えよう、中身が良いものが売れていく環境をお店から作っていこう、というスタンスです。

 

それから、売れているゲームは基本的に扱いません。数十万本売れることが見込まれる大作はほっといてもメーカーさんは頑張って宣伝しますし、お店だって一生懸命コーナーを作ります。問題は、内容はいいのに、それが中々売上に繋がらないゲームというわけです。

 

選ばれたゲームはメーカーさんにも協力を仰ぎ、販促施策を考えた上で、日本テレビゲーム商業組合に加盟しているお店へ紹介し、店舗でのプッシュをお願いします。

 

一応、僕の役割も説明しておくと、まず、初期段階の企画から関わっています。それから、良作を選ぶ際に、僕もプレイをして選考に参加しています。そして、お店へのゲームの紹介文を書いたり、お店で使うポップを作ったりもしています。

 

 

第1回は、極限脱出 9時間9人9の扉

 

まだ始めたばかりで、色々試行錯誤もあるのですが、そんな中、とにもかくにも動いてやってみないと進まないよね、ということで第1回の良作販売を行いました。

 

選ばれたのはスパイクから2009年12月10日に発売されたDS用ソフト、極限脱出 9時間9人9の扉(以下999)です。弟切草や、最近では428など、アドベンチャーゲームに定評のあるチュンソフトの開発なんですが、発売された時期が非常に難しかったゲームです。

 

なにしろ、前の週にはNewスーパーマリオブラザーズWii、翌週はファイナルファンタジー13です。また、2009年11月26日には、同じアドベンチャーゲームのレイトン教授と魔神の笛も発売されています。999に限った話ではありませんが、この時期に発売されたゲームは、大作の影にどうしても隠れがちです。

 

しかし、プレイしてみれば面白いんですね、これが。とくに物語が素晴らしい。何度も繰り返しプレイしてストーリーを分岐させながら真のエンディングを目指して行くタイプのアドベンチャーなんですが、プレイしていくうちに登場人物の印象はどんどん変わっていき、何気ない会話の中に隠された伏線にはっと気がつき、最後それらが1つになっていく時の高揚感は、よくできた推理小説の解決編を読むような知的興奮があります。 クリアしたあと、登場人物たちとの分かれが名残惜しくなるんですよね。最初あんなにうっとおしい奴らだと思っていたのに、愛着が湧いてしまって。

 

これは、知らないだけで好きな人いるよね、ということで、スパイクさんにもご協力いただきまして、店頭で良作として紹介していただきました。というわけで、ここまでが長い長い前置きでございます。ここから、いくつか、店頭の様子をご紹介させていただきたいと思います

 

 

第1回 ゲーム屋さんが選んだ良作ゲーム(仮) 店頭コーナー紹介

 

というわけで、店頭でどんなふうに999がアピールされているか、参加店舗の中からいくつかをピックアップしてをご紹介していきたいと思います。ちなみに、写真撮影はそれぞれのお店の皆様によるものでございます。これがですねえ、楽しいんですよ、ホントに。ゲームへの愛が溢れているんですから。

 

 

メディオ!沖新店

ババーンとビッグスペースで大アピールしてくださったのはメディオ!沖新店。これでもか、というぐらい良作マークがついております。店員さんの手描きポップがいい味だしてますね。写真と一緒に、コーナー作ったら早速1本売れましたよ、なんてお話もいただいてます。

 

 

USVファミーズ笠寺店

ちょっと写真が小さくて分かりにくいのですが、かなり気合の入ったストーリー&キャラクター紹介ボードを作ってくださった、USVファミーズ笠寺店。ゲームの魅力ある世界にグーッと引き込んでくれるコーナー作りが見事。これ、作るの大変だったとおもいますよー。ゲームに対する理解がしっかりしてないと難しいです。こういうお店だったら店内を見て回るだけでも楽しそうですね。

 

 

モニターですよ!モニター!この大変賑やかなコーナーは、エーツー日本橋店。ゲームのお店にあるモニターって数が限られてますから、それぞれのゲームで争奪戦になったりしてるんです。モニターでPV流すとお客さんの反応はぐっとよくなるんだそうですよ。また、999のPVがカッコいいんですよ。

 

 

ネクスト・ワン 名張本店

コンパクトながら、華やかに飾ってくださったネクスト・ワン 名張本店。さり気なくレイトン教授シリーズの上にコーナーを作っているあたりが、流石ですね。 逆転裁判や、レイトン教授を遊んだ人に、「今度はこういう感じのアドベンチャーどう?」ってオススメしてみるのは、いいんじゃないかと思うんです。

 

wapaku茨木店

黒に赤い数字、そして白字の極限脱出。このボードだけで、999のイメージをうまく表現してます。こういうものが1枚あると、それだけでゲームへの興味が全然違いますよね。 年末にチュンソフトのアドベンチャーが出てたけど、他のゲームがたくさんあってやり逃してた人が、もう一度発見して、そういえば・・・と思って手にとる、そんなきっかけにもなったりするんじゃないでしょうか。

 

 

最後は、カメレオンクラブ千歳烏山店。比較的大きいスペースで展開してくださったお店を中心に紹介してきましたが、必ずしも大きな場所をとらなければいけない、という風には考えておりません。各店舗それぞれ事情がありますから、面陳(パッケージの表の面が見えるように陳列すること)していただいて、POPを1つ、2つつけてもらうだけでも参加できます。大事なことは、面白いゲームを、お店がユーザーに勧めることなんです。

 

こちらの写真を見ていただければ分かると思いますが、面陳とPOPだけでも全然違いますよね。目につきます。こうやって、小さいスペースでも、お店の中に良作コーナーがあったら、楽しいんじゃないでしょうか。

 

ちなみに、写真右側下の良作マークがついたPOPは、僕の文章を、このサイトやAllAboutゲーム業界ニュースのイラストを描いてもらっている橋本モチチさんに手描きでPOPにしてもらったものです。こちらはPDFでお店に配布し、各店舗で印刷して使ってもらっています。

 

 

面白いゲームをみんなで売っていく

 

店舗の様子、いかがだったでしょうか。僕は、お店の写真を見るのがすごく楽しいんです。ゲームを作る人達のことをゲームクリエイターなんて言いますが、お店の人だってすごくクリエイティブな人達がいっぱいて、ユーザーを楽しませるパワーに溢れています。

 

僕は以前、AllAboutゲーム業界ニュース「私のゲームはどこ!」という記事を書きました。ゲームはたくさんあるけれど、その中から面白いゲームを探すのは、なかなか難しい、というお話です。

 

やっぱり誰かが、このゲーム面白いよ、と教える必要があります。ゲームとユーザーの出会いの演出、この役目はゲーム業界ではとても大事なはずなんです。今回、日本テレビゲーム商業組合さんが中心になって、メーカーと、お店が協力して、面白いゲームをもっとユーザーに伝えよう、と、動き出しました。まだ、はじまったばかりではありますが、お店の人達のパワーはすぐに実感出来ました。

 

こういうことを丁寧に、大事に、時間をかけてやっていくことで、少しずつ、ゲーム業界はもっと楽しく、もっと面白くなれるんじゃないかと、そう思うのです。

 

以上、ゲーム屋さんが選んだ良作ゲームのご紹介でした!この活動は今後も継続的に行っていく予定ですので、また、これからも「記事にはできない。」でご報告したいと思います!

 

 

シナリオ、そしてディレクションを手がけた
チュンソフトの打越鋼太郎さんより
メッセージをいただきました!

 

今回良作に選出された「極限脱出 9時間9人9の扉」は大変に物語に魅力を感じるゲームですが、そのシナリオを書かれ、そしてディレクションも手がけたチュンソフトの打越鋼太郎さんから、Twitterにてメッセージをいただくことができました。

僕は、打越さんとは全く面識がないのですが、Twitterでやり取りをする限り、とても、かなり、熱い方です。今回もお忙しいでしょうし、簡単なメッセージだけでもいただければ、と思っていたのですが、想いのこもった言葉の数々を、たくさんいただくことができました。

以下、転載にてご紹介します。

 

田下広夢(TaoriHiromu)on Twitter

 

@uchikoshi お世話様です。ライターの田下です。9時間9人9の扉が選出された良作販売、レポートアップしました。ぜひ、ご覧いただいて、ご感想や、メッセージなど、ツイートいただければと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

 


打越鋼太郎(uchikoshi)on Twitter

 

まずは「ゲーム屋さんが選んだ良作ゲーム」に選んで頂きありがとうございます。しかも第1回目ということでとても光栄に思っております。今回この企画を主催して下さった日本テレビゲーム商業組合様、並びにご協力頂いたショップの皆様方へ心から厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 

特設コーナーを作って応援して下さったり、手書きのPOPまで作ってfeatureして頂いているのを見ると、本当に目頭が熱くなる想いです。999という作品、正直初の試みだった部分もあり、いたらない点も多々あったかと存じますが、それでもスタッフは全員、寝る間も惜しみ、自分の時間を削りに削って、精神的にもギリギリの状態にまで追い込まれながらあの作品を仕上げました。(まあそんな状態に追い込んだ責任はDにあるわけで、その点は深く反省しているのですが……)

なので、感慨もひとしおと言いますか、本当にありがたく、スタッフも全員心から喜んでいると思います。

 

つい先日、東京都の条例改正案の件で、そうそうたる漫画家の先生方が会見を開きましたよね。あの会見でどなたかがこんなことをおっしゃっていました。「今やマンガは日本が海外に誇る文化である。それを支えているのは広い裾野だ(だから規制なんかしちゃいけない、土台が崩れれば頂点も崩れるから)」

 

これに似たことをサッカーでも聞きます。「草サッカーがあり、クラブチームがあり、国内リーグがあって、その国の代表がいる。草サッカーが盛んじゃない国の代表が、どうしてワールドカップで優勝なんてできよう」

 

ゲームも同じだと思うのです。大作ゲームがあって、中・小規模なゲームがあって、裾野が大きく広がっている。これが理想だと。ただ現在の業界の構造ではなかなかこれが難しい。

 

参考:http://allabout.co.jp/game/gamenews/closeup/CU20100121A/

 

皆さんはこんなこと思ったことないですか?「あの有名なディレクターの(あるいはプランナーの、会社の)完全新規オリジナルタイトルを遊んでみたい」って。シリーズものとか外伝とかじゃなくて……。映画監督って、基本的には1作1作、全然違った物語を撮るじゃないですか。

 

「今回は今までとはまったく毛色の違った作品だ」とか普通にあるし。シリーズものでも、2・3は別の人がメガホンをとってたりするし。なのにゲームでこれをするのは結構厳しい(と思う)。理由は……さっき貼ったURLを参照して下さい。

 

で、今回のこの試み――「ゲーム屋さんが~」は、こういった不思議な状態を改善するための、ひとつの取っ掛かりになってくれると思うのです。999が選ばれたから言っているわけでは決してなく……。

 

本には本屋大賞があるように( @maro4716 )映画祭にだってサンダンスみたいなものがあるように、「ゲーム屋さんが~」が同じような位置づけで発展してくれればと願ってやみません。というか、そうなってくれるものと信じています。

 

長くなりましたがコメントは以上です。ふぉろわーの皆様、TLが見苦しくなってしまったとしたら申し訳ありません。最後に、田下さん、関係者の方々、それからファンの皆様に、重ねて感謝申し上げます。本当にありがとうございました!

 


打越さん、熱いメッセージをありがとうございました。打越さんだけではなく、チュンソフトのプロデューサーのイシイジロウさんや、999とは全く関係のない業界の開発に携わる方々、ゲーム関係メディアの方々、お店の皆さん、そしてお客様であるユーザーの皆さんからも、この試みに対する応援メッセージをそれはもうたくさん、いただいております。

 

ゲームはこんなにも愛されています。本当にたくさんの声に勇気づけられます。打越さん、応援メッセージをくださったみなさん、ありがとうございました!いただいたメッセージは、お店の皆さんへ届けさせていただきます。また、今後ともこの活動をよろしくお願いします!それでは!