そのコンペ、クイズ大会になっていませんか?

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世間的には僕はゲームライターなんですが、ゲームとも関係なければライターでもない仕事を結構していて、それが企画屋さんだったりします。企業の営業販促施策の企画をしています。で、コンペによく参加するんですね。こういう商品を、こういう販路で売りたいんだけど、販促企画を考えて欲しい、というような。あるいは、企業展示会でブースを出すので、そのブース企画のコンペなんかもよくあります。


本来コンペの時大事なのって、例えば商品理解度だったり、マーケットの分析だったり、そしてそれらを企画に落とし込んだ時の説得力だったり、発想の豊かさだったり、あるいは企画実現力やコストだったりすると思うんですが、コンペの前提条件の出し方が良くないと、そこまで到達しない、ということがボチボチあります。


受ける側からすると、みんなおんなじ条件ですから、それはそれでということで全力を尽くすだけなんですが、コンペを出す側はもったいないことしてるなあと思うことはよくあります。


ということで、こういうコンペはクイズ大会になっちゃいますよ、というのをいくつか紹介してみたいと思います。心当たりのある方は、ちょっと参考にしてみてください。

 


誰に売りたいかクイズ


この商品、誰に売れるだろう、というところから提案してくれ、というのはボチボチあります。もちろん、商品の特性から誰が使うのか、どんな場面で価値を発揮するのか考えて、市場を提案することはできるし、やるんですが、ただしその話は正解が1つじゃありません。


誰に売れそうか、という話とおんなじぐらいの比率で、誰に売って行きたいか、という企業の意思があります。この部分をしっかり相手に提示しないと企画を出してもらってもあまり意味がありません。


当然、僕らもそこは心得ているので、代理店の営業担当さんに企業としての方向性というか、考え方をヒアリングしてもらうわけなんですけど、聞いても出てこない、だけど提案されるとそれは違う、というのが時々あるんですね。「それは違う」の理由が、そこには売れないと考えているということならいいんですが、そうじゃなくて、そこもいいんだけどこっちを狙いたいって後から出てきたりするんです。


うちの奥さんと食事に行くときとソックリなんですよね。「何食べたい?」って聞くと、「なんでもいい」って答えるくせに、「じゃあラーメン」って言うと「気分じゃない」って返ってくるという。あの感じ。奥さんだったらその後相談して、詰めていくのでそれでもいいんですが、1発勝負のコンペでその感じを出してもいいことないので、気をつけた方がいいんじゃないかと思います。

 


予算はいくらかクイズ


予算がはっきりしていない場合というのは、少ないんですが、でもあります。提案を聞いて、それだけの価値があると思えば予算をつける、みたいな言い方。
ただ、多くの場合、青天井ということはないんですよ。当たり前ですけど。それどころか、現実的に動かせるお金は思ったよりもずっと少ないということも多いんです。


予算はここまでしかありませんが、効果はここまで出したい、とはっきりいうと、企画を立てる側は少ないお金で最大効果を発揮できる内容を考えます。でも、予算が決まっていないと言われると、積み上げ式で価格が出される方が多くなります。


しかも、その提案する価格そのものが現実的なのかというのが、クイズになっちゃうんですよね。予算クイズです。話を聞いてから、予算をオーバーすれば削ればいいというようなことを考えている場合もあるようですが、よくできている企画ほど、やろうとしていることそれぞれに必要な役割がしっかりしていて、安易にどこか1部分を削るということがしにくい形になっています。


動かせない額の企画を聞いて、それは流石に手に負えないと蹴るぐらいなら、最初からしっかり予算を決めて、そのお金をどれだけ有効に使えるかを競わせた方がずっと得だと思います。

 


何をして欲しいかクイズ


これは実は、わりとあるんです。「自分たちでできることを提示できていない」と言い換えてもいいかもしれません。多くの場合、これまでの中で自分たちで既にできている部分と、そうでない部分があり、そうでない部分をお願いしたいわけです。


例えば、新しい商品で売り先が決まっていないなら、売り先の開拓をして欲しいかもしれません。でも、既存商品の買い替えを狙っているなら売り先の開拓はあまり重要じゃなくて、買い替え需要を換気する施策が必要になります。あるいは、全く新しい商品の場合は、そもそも商品をどうやったら分かりやすく説明できるかという表現に重点が置かれるかもしれません。


そんな中で、売り先の開拓が最重要課題である、とか、買い替え需要を促したいが方法が分からないとか、新商品を分かりやすく説明して欲しい、とか言えれば、そこに向かって企画が立てられます。でも、その説明が不十分だと、まず何を優先するべきかから考え始めることになります。


その時、そもそも自分たちでできる範囲はどこである、ということがはっきりしなければ、別に頼まなくてもいいことを提案されてしまう可能性が増えるわけです。「私達が何をして欲しいかクイズ」も、あんまりいいことは無いんじゃないかと思います。

 


質で選ぶための頼み方


これが普段からお付き合いのあるところと次の展開について話すということであれば、別にわりと雑な放り方をしてもらっても、全然問題なかったりします。時間をかけてすり合わせをするだけですから。ただ、1発勝負のコンペだと、内容がどうこうじゃなくて、クイズに当たったところと仕事をする、みたいなのはもったいないと思うわけです。


どうしてもお題を出す側になると、ある程度フワッと出しておいて、返って来た中からいいのを選べばいいとどこかで思ってしまうのかもしれませんが、しっかり考えているところは、カッチリしたオリエンをやって、狙いの定まった企画を集めた上で質で選ぶということをしています。


実は選ぶところじゃなくて、オリエンやコンペまでのコミュニケーションで差がついてる部分も大きいというのは、覚えておいて損はないかと思います。

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