2009年

7月

02日

テレビのすごいところは電源を入れたら映像が流れること

最近どんどん視聴率が落ち続けていると言われるテレビですが、このテレビというサービス、改めて考えるとすごいよ、というお話。

何がすごいってね、リモコンで、こうピッと、電源つけたら番組がやってるんですよ。ピッとつけた瞬間にですよ? 見たい番組を選ぶとかじゃなくて、電源がついたらとりあえず映像が流れて音が聞こえるんです。

このレベルに達している他の商品って、僕の身近にあるものではラジオか、あとはポータブルオーディオプレイヤーぐらいです。iPod shuffleはその点が実に素晴らしかった。何百曲という音楽をほうりこんでおいて、再生したら即座に何かしら音楽が流れます。特定の聴きたい曲を聴く為の道具ではなく、音楽を聴くという行為そのものと直結しています。だから、なんとなく音楽が欲しいと思えば、電源を入れるわけです。

観たい番組があるから観るんじゃなくて、番組がやってるから観たくなる

ちょっと話がそれました。で、この電源を入れたらとりあえず番組がやってるというのは、コンテンツ配信という観点からするとかなり重要でして。とかく、コ ンテンツを配信するサービスをしようとする人は、ユーザーにとって見たいコンテンツがあるから、それを見るためにサービスを利用すると考えがちです。間違ってはいません、間違ってはいませんが、人間はそれほど合理的でなければ娯楽に対して能動的でもありません。どんなに素晴らしいコンテンツでも知らなければ永久に鑑賞することはありませんし、別にそれほど観たいと思っていなくても目の前にあれば興味が沸いたりします。


テレビで言ったら、もちろん観たい番組があるからテレビをつけることもよくありますが、テレビをつけたら番組がやってるから何となく観ちゃうっていうのもすごく多いと思いませんか? あるいは何かやってないかなと思ってなんとなくテレビをつける、というのもあります。


そういう風に考えると、ボタンを1回押したら即座に番組が流れる、というテレビのサービスは究極的によくできてるんです。なんだい、でもテレビの視聴率は下がってるじゃないか、と思うかもしれませんがそれは逆で、テレビのサービスだからこそ、まだかろうじて視聴率がでるんです。これがですよ、想像してみてください、毎日のテレビ番組が携帯電話かなんかでインターネットに接続してダウンロードして観るってものだったら、いったいどのくらいの番組をあなたは観ますか?相当お気に入りの番組以外は、全くみなくなると思うんですよね、メンドウで。

パカッとあけたらいつも新しい映像コンテンツが流れる携帯が欲しい

テレビは凄いよね、という話はこれでおしまいなんですが、関連してテレビ以外のコンテンツ配信の話を。むしろこっちが本題だったりして。

 

テレビのサービスは素晴らしいと言ったところで、それとは別の原因で視聴率はやっぱりおちてて、メディアとしての力が弱まりつつあります。

もう、みんなが同じ情報を観る時代ではなくなっていて、例えばニュースにしてもITのニュースが観たい人、音楽のニュースが観たい人、経済のニュースが観たい人、それぞれにそれぞれが知りたい情報を取得する時代になっています。

そうすると、よりパーソナルなメディアが注目を集めます。だから、携帯電話やゲームハードなんかに、オンラインで動画配信だとか、音楽配信だとか、ゲーム配信だとか、あるわけですがどれもまだコンテンツに辿り着くまでのプロセスが凄く長いと思うんです。ハード起動してオンラインに接続してコンテンツ選んで視聴、なんてありえないぐらい長い。こんなに長いプロセスがあったら、さっきも言った通りテレビレベルのコンテンツなら全然見てもらえないでしょう。

着メロなんて、携帯をクレイドルにさしてる間にでも勝手にダウンロードされて毎回色んな曲で携帯が鳴ってくれたらいいなあ、なんて思うわけです。気に入ったのがあったらすぐ課金できて全部聴ける、みたいな。もしかしてもうあったりするんでしょうか、そういうサービス。映像だって好みのジャンルだけ設定して、あとは携帯をパカッとあけたら毎回違う映像が小さく流れて、観たいと思ったらすぐ全画面で音出して観れたら使うなあ、とか。技術的な問題なんかがきっとあるんでしょうけどね。

テレビの力は少しずつ弱まって、パーソナルなメディアに移行しつつあります。でも、まだまだ遠い。そういうものが本当に普及してみんなに利用されるには、テレビレベルのアクセシビリティを獲得しなければいけないんじゃないかなあと、思います。