『結チャンネル人狼 #24「夏休みだよ!悪女村スペシャル』解説 妄想人狼狂のハイパーモード

人狼観。人狼ゲームに対する感じ方、考え方。人狼観は何度も人狼ゲームをプレイすることで培われ、その人が人狼をしてきた環境によって大きく左右します。チャット人狼なのか、対面なのか、エンジョイなのか、真剣勝負なのか。同じ仲間で何度もプレイを繰り返すと、いつしか人狼観は固定化し、それがセオリー、当たり前になっていくこともしばしばあります。

 

しかし、人狼観は人の数だけあります。誰もが当たり前だと思うようなことを、全然違う角度から考える人もいます。人狼観は環境によって培われると言いましたが、個人の資質によっては、全くもって異形な人狼観を持つに至る人もいます。

 

イトキチ村の面白いところの1つは、そんな様々な人狼観を持つ人が集まり、戦わせることにあります。ある、一定の、誰かが旗を振る人狼観ではなく、別々の考え、別々の思考、別々の感情を持った人たちが集まって、お互いの個性を発揮する人狼。

 

イトキチ村はなぜそのような場になっているのか。それは、主であるイトキチこと結さんの思考がそうさせていると僕は考えています。2018年8月11日に配信した『結チャンネル人狼 #24「夏休みだよ!悪女村スペシャル」』は、イトキチ村のイトキチ村たる戦い、そして結さんの人狼観を垣間見ることができる1戦でした。

 

というわけで、この記事は『結チャンネル人狼 #24「夏休みだよ!悪女村スペシャル」』を、実際に出演していた田下の視点から振り返る解説記事です。今回も動画を観て、さらに詳しく知りたい人向けですので大変に長いです。そして、ネタバレとなりますので、まだ観ていないよというかたは、ぜひ、ご覧になってから記事を読んでいただくことをオススメします。

 

【関連動画】

結チャンネル人狼 #24「夏休みだよ!悪女村スペシャル」』

 

 

今回レポートするのは第3戦です。僕は第1戦、サンデーさんとみいこさんを悪女陣営、エイジさんをラストウルフと推理し、みいこさんに投票を誘導し、負けました。この時、みいこさんがラストウルフで、悪女陣営のサンデーさんとエイジさんにしてやられた形です。

 

第2戦、初日の投票で、悪女陣営であるスナパイさんと柚木尚子(以下しょうこ)さんに2票もらい、そしてとどめに人狼だったエイジさんに3票目をもらって、処刑されました。僕は普段、自分が狼の時にも、敵対勢力だからといって怪しい行動をしていない村人に票を投じることをしません。ですから、その裏返しで、自分に票を入れてきたという理由だけでは、相手を単純に怪しいと疑わない傾向があります。そこで「エイジさんは間違っているけど、間違っているから人狼だとも限らない」と擁護してしまいました。

 

僕は天国ルームで、モニターを観てエイジさんが狼であることを知りました。そして叫びました。たった1人で。ありったけの声で。届けこの禍々しい想い。エイジ―! クソ狼じゃねーか! くそおおかみじゃねえか!!

 

そして深夜、帰宅する途中に思いました。「ブレイブフロンティア」や「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」を手掛けるゲームメーカー「エイリム」の代表取締役社長である高橋 英士さんのことを、ゲーム業界の隅っこでうずくまっている僕みたいなライターがあんなに「エイジー!」と叫んで良かったのだろうか、と。たぶんダメなんだろうな。特にクソ狼はいけないよな。でもクソ狼だったな……。

 

さて、そんな2戦を経て…3戦目の幕があがります。

 

 

0日目 無償の愛と条件付き契約

 

駆け引きは1日目のその前から始まっていました。悪女をひいたのはみいこさん。みいこさんが選んだキープは結さん、本命は僕でした。後でみいこさんに聞いてみると、僕と結さんであれば、しっかりと守って勝ってくれそうだから、とのことでした。

 

やれやれ。みいこさんの人間観察はいささか甘いようです。確かに、結さんはロマンチストな上に頭がややお花畑な方であらせられるので、みいこさんと一緒に添い遂げて勝利するなんていう幻想を抱いていたことでしょう。

 

僕はと言えば、常に、事態を正確に把握したいと考える人間です。みいこさんに指名されたから仲間などというお花畑な思考は、その時点で把握している事実に基づいた考えとは言えません。冷静に考えてみてください、目を開けた時に視界に入ってきた、ビリビリにやぶけたズボンをはいて、ハンドサインでハートマークを作っているお調子者のYouTuberは、2分の1の確率で敵なのです。

 

もっとも、残念なことに自分が本命であればそのお調子者のYouTuberを守る必要もあります。ですから、1つ罠を張ることにしました。僕がみいこさんに返したハンドマークは狼です。ガオーのサイン。しかし、僕は狼ではありませんでした。なんの能力もない村人、いわゆる素村です。つまりこれは、みんなが寝静まった深夜にみいこさんだけに放った狼騙りでした。なんでこんな騙りをしたのか。

 

もし、みいこさんが僕を本命として、真剣に僕との勝ち筋を模索すれば、狼を処刑して勝つことはできないということにすぐに気がつくはずです。しかし、僕がキープで、守るふりだけしとけばいいやと思っていれば、あのお調子者のYouTuberのことですから、うっかり狼を殺しにいくこともあるかもしれません。もしみいこさんが狼を殺して勝利しようとする仕草をみせれば、その時は刺しにいこう。そんな、いざという時の為の罠なのです。

 

結さんは、みいこさんから選ばれた時、そこに愛を感じて、愛を信じたでしょう。

 

僕は、みいこさんから選ばれた時、仲間であれば守り抜いて勝つという契約だと考えましたので、契約に1つ条件をつけたわけです。狼を守って勝て、と。条件を破れば契約は破棄です。

 

 

1日目 狂乱エイジ

 

開幕、しょうこさんが占い師カミングアウト、最初から知っている村人はエイジさんでした。これはファインプレイ。しょうこさんは狂人、エイジさんは狼ということで、狼側が早速狂人を補足します。

 

続いて、磯部恵子(以下べってぃー)さんが発言。インコさんからただならぬ緊張感を感じると指摘します。捕捉されたインコさん、変なポエムで煙に巻きながら、霊媒師カミングアウト。しかし、インコさんも人狼です。インコさんに呼応して真霊媒師のサッシャさんがカミングアウト。

 

そこでしょうこさんから村人判定をもらっていたエイジさんが手を挙げます。「僕が本当の霊媒です」

 

占い師1人、霊媒師3人。占い師の対抗が出てきません。しばらく5人目の能力者となる占い師を待ちますが、誰もでてきません。ここでエイジさんが霊媒師を撤回します。この時点でエイジさんはやや怪しくなります。というのも、エイジさんが村騙りをしたとして、3人目の霊媒師を騙る戦術的理由がほとんど無いのです。これは後になってサンデーさんが指摘しますが、狼を炙り出すというよりも、むしろカミングアウトしにくい雰囲気を作ったぐらいでしょう。

 

占い1人、霊媒2人で、占いか霊媒のどちらかの役職が悪女陣営に堕ちていると考え、村人は推理を進めます。霊媒師の内訳が真霊媒と狂人の場合は、しょうこさんが狼となり、真占い師が悪女堕ちという推理を展開していたところで……またしてもエイジさんが動きます。自分が真の占い師でしょうこさんを処刑したいと言うんですね。

 

これはもう滅茶苦茶で、エイジさんがしていることは村の推理を混乱させる行動なので、ほとんど真をとることは不可能でしょう。エイジさん、村人判定をもらって狂人も見えて真占い師が悪女に堕ちてそうだなというのもほぼほぼ掴めたタイミングで、前2戦の快勝も手伝って、やりたい放題の狂乱状態になります。これが世にいう狂乱エイジです。みなさん、覚えておいてくださいね。

 

しかし、狂乱エイジが全く意味がないかというと、おそらくそうでもありません。というのも、エイジさんが偽物に見えれば見えるほど、副作用的にしょうこさんが真占い師っぽく見えるからです。村人がもし狂乱状態のエイジさんに耐えかねて処刑したとすると、狼霊媒師のインコさんが村人判定、真霊媒師のサッシャさんが狼判定を出します。エイジさんに村人判定を出しているしょうこさんを信じればサッシャさんが偽物に見える……という展開もあり得ました。エイジさんがそこまで読んでいたかというのは定かではありませんが……あとで内訳を見てみると、存外面白い手になっていたなと思いました。

 

僕はというと、エイジさんの動きが、占い師が欠けているのを確認してから出た狼と合致することから、恋敵が占い師だった場合のパターンの勝ち筋を撒いておこうと考えました。その場合、知っているのは狼だけです。ですから議論中に、狼が2匹騙っていて、役職者が堕ちている可能性もあるよ、とふって、狼をたきつけておきました。これは、エイジさんを偽物だと追い詰めるための意見というよりは、狼に対してきちんと噛まないと後でひっくり返されても知らないよ、というメッセージです。

 

ここでスナパイさんが重要な提案をします。グレー吊り、つまり能力者と能力者から村人判定をもらっている人を除いた人の中から処刑するという提案です。役職者4人の内訳で、占い師と霊媒師のどちらに狼がいるのか判定しかねることから、役職者ではなく、グレーの狼を処刑し、役職者がどこに投票するのかも含めたラインを見たいと提案しました。この提案に即座に乗ったのが結さんでした。

 

スナパイさんのグレー吊り提案の是非が決まらないまま、時間切れとなり投票に入ります。

 

この日の投票は重要ですね。

 

スナパイさんはグレー吊りの提案通り、グレーののりたまさんに。結さんはグレー投票に賛成していましたが、結局投票になるとグレーが喋れていないといって占い師のしょうこさんに。これはやや危ない投票かもしれません。結さんはしょうこさんを狼っぽいといいます。しかし、多くの村人にはメチャクチャしているエイジさんが狂人の動きに見えるはずです。エイジさんを狂人と置いた場合にしょうこさんが狼に見えるのは、悪女堕ちしている占い師、と、人狼が気がつくかもしれません。

 

僕はというと、恋敵を探したいと思っていました。恋敵はみいこさんを守ろうとするならグレーを処刑したくないはず、と予想していました。だとすれば、逆にグレー投票の流れも作って、誰がそこに乗ってくるのか、誰が乗ってこないのかを見極めるためにスナパイさんの論に賛成しようと考えました。自分が悪女陣営でないアピール、みいこさんとのライン斬り、なおかつみいこさんを狼の噛み位置からはずす効果、1票3得と考え、みいこさんに投票。殺せるタイミングの票ですが、結局のところ、この日は霊媒師が処刑されるとふんでいました。

 

その他の人の票の多くはインコさんとサッシャさんで割れていきます。

 

インコさんに入れたのが、べってぃーさん、みねおさん、サッシャさん、みいこさん

 

しょうこさんは、インコさんを怪しいと言っていましたが、ここにきて、インコさんへの票が多すぎるといって、票の動きからサッシャさんを怪しむべきだと主張を変えます。この1票は非常に重要で、インコさんを救うことになります。ナイス狂人でしたね。

 

サッシャさんに入れたのが、のりたまさん、しょうこさん、インコさん、サンデーさん。

 

実はこの時、サッシャさんに投票した村人は、インコさんの方が怪しいけど決戦投票にすると言ったサンデーさんだけなんですね。人狼陣営が結束することでサッシャさんが追い込まれました。人狼陣営は、真占い師が出ていないことからライン戦になり得ないので、かなり思い切った行動がとれます。

 

決戦投票の結果も、人狼陣営の投票がなだれ込んでサッシャさんが処刑されます。サッシャさんに投票したのは、村陣営ではべってぃーと、かおりんごさん、悪女陣営の結さん、そして、人狼陣営のエイジさん、のりたまさん、しょうこさん。

 

 

2日目 勝負のあや

 

襲撃先はみねおさんでした。インコさんの霊媒結果は、サッシャさん村人判定。インコさんの目線では、占い師に狼がいることになり、対抗占い師のエイジさんに村人判定を出しいているしょうこさんと関係が切れたことになります。狼が狂人を切った形ですが、前日の投票を考えれば、サッシャさんが処刑された結果に反して、インコさんに対する村人の信用度は決して高くないので、逆にインコさんが追い詰められる結果の出し方になりました。

 

占い先は、しょうこさんが僕に村人判定、エイジさんがみいこさんに村人判定。悪女と本命がいっぺんに村人判定をもらってしまいました。ただ、僕はこれはちょっと面白いなと思っていて、みいこさんには、僕に村人判定を出したしょうこさんが人狼側の占い師に見えるはずです。ですから、これでエイジさんを攻撃してしょうこさんを守る行動をとってくれれば、僕は本命の可能性が高くなりますし、その逆をいけば、キープの可能性を考える必要が出てきます。

 

占い理由を聞くと、エイジさんが、みいこさんを占ったのは、みいこさんがインコさんに4票目を入れたからだと言います。ここで結さんが露骨に「真っぽいなぁ」と言います。しかし、丁寧に吟味するとエイジさんの占い理由は全く真っぽくありません。エイジさんはしょうこさんを狼と推理していて、そのしょうこさんがサッシャさんに投票しているのに、インコさんに強い投票をしたみいこさんを怪しむのは辻褄が合いません。しかし、結さんは実はこの時点で、というか1日目が始まる前から頭がお花畑なので、みいこさんが処刑されないように、高橋さんの占いを露骨に支持していました。

 

同時に、狼占い師にすりよることにもなり、自身が占い師であること、恋人陣営であることも狼から隠すことに成功しています。また、しょうこさんを狼に見る結さんに対し、スナパイさんが詰め寄ると、今度は迷っているから今日は占い師に行きたくないと言い出します。これも、自分が占い師ではないことを匂わせました。

 

また、この日の重要なポイントとしてサンデーさんの「占い両方偽者かも」という発言があります。僕が1日目に真占い師悪女堕ち説を出しましたが、それを2日目も追っているのはおそらくサンデーさんだけでした。理由はみねおさんの襲撃でした。みねおさんは初日、しょうこさんが狼だった場合、1、2戦であれだけ大暴れして目の敵にされているエイジさんに、村人判定を出す理由はエイジさんも狼の時だけだけど、両狼はないだろう、だから偽物でも狂人だ、というような内容の発言をしています。サンデーさんはここから、占い両偽を知っている真占い師の発言ととらえた狼がみねおさんを襲撃した、と推理したんですね。実は、この襲撃を決めたのはのりたまさんで、うかがってみたところ、理由はほとんどなく「勘の鋭い人かんどくかー」くらいのテンションだったそうです。つまりサンデーさんの考えすぎというのが真実だったんですが、これが勝負の「あや」となります。

 

この日の投票は、ほとんどがインコさんに集まり、インコさんが処刑されます。

 

 

3日目 妄想人狼狂のハイパーモード

 

この日、事件が起こります。人狼がみいこさんを襲撃し、そして、道連れとなって僕も死んでしまいました。この襲撃ものりたまさんの選択で、今度は悪女を狙っての襲撃でした。

 

その時、画面の端にやさぐれ女が1人。

 

そう、結さんです。自分が本命だと信じて疑わなかった結さん。みいこさんとの愛を貫き通して勝利しようと思っていた結さん。死ぬときは一緒だよと思っていた結さん。

 

残念、みいこさんと一緒に死んだのは40歳のおじさんでした!

 

その結果、結さんがハイパーモードに突入します。

 

ハイパーモードについて説明するには、先に結さんの人狼というものについてお話しておく必要があります。冒頭お話した通り、イトキチ村は、人狼の実力も様々なら、人狼観も様々な人が集まります。イトキチ村がどうしてそうなるのかは、かなり癖のある結さんの人狼観に起因すると僕は思っています。

 

結さんは、人狼の基本的な戦術についてはしっかりと理解していますから、一見するとノーマルな人狼をする人に見えるかもしれません。しかしそれはおそらく彼女にとって表層的なものでしかありません。結さんの人狼にとって大事なのは物語です。いえ、物語というのは綺麗な言葉を使いすぎでしょうか。正しく言うのであれば、妄想です。妄想。みだりにおもうと書いて妄想。あの人の人狼は妄想人狼なのです。妄想人狼狂なのです。

 

ある時は死んでいく者の想いを、ある時は守る騎士といたいけな占い師の関係を、そしてある時は最愛の人に裏切られおめおめと生き残ってしまった女の末路について、膨らましているのです、色々なものを、様々なあれを。

 

2017年8月5日に配信された『結チャンネル人狼#12「スリアロ勢VS悪女村」』での出来事を思い出します。この時も悪女村でした。武中兄や新井啓文さん、大浜岳さんや白田みおさんなど、スリアロ勢が多数出演していました。投票時のことです、みんなが悪女と本命の組み合わせを推理している時、結さんは唐突にニヤニヤして語りだします。

 

 

 

 「私初日からずっと思っていること言っていいですか! ずっと思ってること言っていいですか! なんならゲーム始まる前から思ってるんですけど! 武中さんと大浜さんができてるんじゃないですかねー!」

 

【関連動画】

結チャンネル人狼#12「スリアロ勢VS悪女村」(ハイパーモード10:17ぐらいから)

 

これがズバリ当たって、翌日2人は襲撃にあい、退場となります。おかしいと思いませんか。初日から思っているというのもたいがいですが、ゲーム始まる前からというのは絶対におかしい。断然いかれている。しかし、ゲームが始まる前という表現には、やや語弊があります。大げさだというのではありません。これは、控えめな言い方なのです。おそらくは、放送が始まる前から、キャスティングをする時点でカップリングを妄想しているはずなんです、あの人は。そういう妄想狂が今回はこのルールでこの人とこの人が戦ったらこんなことや…あんなことが…と思っているから、みだりに思っているから、イトキチ村には実力も、人狼観もごちゃごちゃの人が集まることになり、それなのに不思議と面白楽しい人狼が繰り広げられるのです。

 

だから、妄想の働かない、ロジカルなだけの作戦上ではさしたる活躍はしない人です。しかし、ひとたびそこに物語が乗り、人間関係ができ、悲劇や喜劇やロマンスが生まれるとなると、彼女は力を発揮します。ハイパーモードです。

 

さあ、戻りましょう。

 

結さんの占いは、初日サッシャさんを知っていて、2日目エイジさんを占って狼判定、3日目しょうこさんを占って村人判定というメチャクチャなものでした。この人グレーに一切手を付けてないんですね。

 

イトキチがこのメチャクチャな占いをしている理由は、さらにメチャクチャでした。グレーを占って、いざという時村人側の勝ち筋を探すなんていうことは、悪女に対する裏切りであり、不貞行為であると。愛は信じることから始まると。完全にいかれているのは、人狼の戦術を理解せずにやらかしているのでもなければ、放送が面白くなると思って変なことをしているのでもなく、真剣にみいこさんとの愛を貫き通す為に当然の行動だと思っているところです。

 

だから、狂人と分かっているしょうこさんに変な説得をします。自分は、裏切られて、悲しい思いをしている女なのに、その私を処刑するのかと。「優しくして」と訴えかけます。お前は何を言っているのか。

 

完全に正気じゃないですね。しかし正気ではありませんが本気ではあります。そして、抜群の破壊力です。もしこれが真占い師でなかったとしたら、逆にすごいと思います。どう考えても、嘘でそんな占い先と占い理由は思いつかないでしょう。

 

ぜひ動画で確認して欲しいんですが、結さんがハイパーモードになっている時、エイジさんは完全に魂が抜けていましたね。僕はエイジさんにそれまでコテンパンにされてましたから、現場では心底いい気味だと思いましたが、あの場であの立場であれば、仕方がないでしょう。なにせ出くわしてしまっているのです、妄想人狼狂と。

 

この日は結さんのハイパーモードが場を圧倒し、エイジさんが処刑されます。おそらく生き残っていた村人のほとんどが、感覚的に結さんを信じていたでしょう。ただ1人を除いては……。

 

 

4日目 残酷に、ロジカルに

 

 

 結さんには、これ以上ない残酷な運命が待っていました。翌日、襲撃されたのは結さんだったのです。天国ルームに来た結さんはひっくり返っていました。騎士のスナパイさんが結さんを守らなかったことが分かったからです。僕は天国ルームで優しく「きっと、嫌われているんだよ」と言ってあげました。

 

実際のところ、スナパイさんが好き嫌いで守ったり守らなかったりするわけもなく、結さんが狂人の可能性もあるとして、守らなかったようです。ここは意見が分かれるところだと思いますが、論理的には確かに結さん狂人はあり得ます。結さん狂人の場合は、しょうこさん人狼、エイジさん真占い師となり、さらにグレーの中にラストウルフが潜んでいることになります。朝を迎えて6人なので、狂人を加えた人狼陣営が過半数の3人となりランダムパワープレイ発生となりますから、本当に結さん狂人、エイジさん真占い師説を危惧するのであれば、エイジさんを処刑した時点で、騎士としては結さん以外の場所でのグッジョブを狙いにいくのが安全策ということになります。

 

この状態になるのが良くないと思ったので、スナパイさんは昨日、しょうこさん処刑を提案していたんですね。結さんは狼なら占い師カミングアウトする必要が無い、結さん狼説を否定するとしょうこさん真占い師説を切れるので、しょうこさんを処刑するのが村にとって安全である、という意見です。ここは非常に人狼ゲーム的なロジックを貫き通すスナパイさんでした。それも1つの人狼観でしょう。

 

妄想の中で人狼をしている結さんには、きわめて残酷な選択となりました。しかし、これこそイトキチ村なのです。別にみんながみんな結さんの妄想につきあうわけじゃないんです。妄想人狼狂が仲間の残酷なロジックに殺される日もあるのです。いいじゃないですか、僕はすごくいいと思います。これぞイトキチ村ですよ。

 

スナパイさんはさらに、サンデーさんにも疑いをかけます。サンデーさんは、2日目に占い師が両方偽物であることを疑っていた人物でした。人狼であればその可能性をわざわざ提示する必要がないことから、スナパイさんからは村人寄りに見られていましたが、ここにきて急に「占い師が両方偽物であるってわかるのは人狼だけだよね…」と、サンデーさんを疑いだし、そして票まで投じます。この行動は非常に強力な動きでした。

 

投票は、破綻したしょうこさんが処刑となります。

 

 

スナパイ流人狼術

 

 

 襲撃者はありませんでした。騎士スナパイさんによる護衛成功です。護衛されたのはかおりんごさんでした。

 

この2人を除くと、生き残っているのは、べってぃーさん、のりたまさん、サンデーさんとなります。重要になるのは、初日の投票行動です。結さんを真の占い師と見ると、サッシャさんが真霊媒師、そしてインコさんが狼霊媒師となります。

 

のりたまさんは、最有力候補で、初日に通常投票でも、決選投票でもサッシャさんに入れてインコさんをかばっています。

 

サンデーさんは、同じ場面で決選投票にすると言ってサッシャさんに投票しましたが、決選投票ではインコさんに投票しました。

 

べってぃーさんは通常投票はインコさんに入れていますが、決選投票はサッシャさんに変えています。

 

結局、通常投票でも、決選投票でもサッシャさんに入れて、露骨にインコさんを守ったのりたまさんに、サンデーさん、べってぃーさん、そしてかおりんごさんから票が入って、スナパイさんの票を待つことなく、処刑が決定しました。

 

かおりんごさんに決められてしまって所在無いスナパイさんでしたが、ここで種明かしをしました。昨日サンデーさんを疑った種明かしですね。もともとスナパイさんはサンデーさんを村人だと思っていました。2日目、まだ結さんがカミングアウトする前に、占い両偽説を言っていたからです。2日目に書いた通り、サンデーさんの鋭い考察は、実のところは外れているんですが、結果はあっていて、それが村人と信じるに足る行動だとスナパイさんに思われていました。

 

ですからスナパイさんはサンデーさんを3日目の夜に守っていました。そうすると、昨日、4日目の夜は守れないということになります。そこで一芝居うって、サンデーさんに疑いをかけて人狼の襲撃先を誘導し、見事、かおりんごさんで護衛成功したというわけでした。

 

結さんを護衛しなかったことで、スナパイさんのプレイに疑問を持つ人もいるかもしれませんが、人狼のプレイスタイルは人それぞれです。イトキチ村には、それこそ驚くほど別の価値観を持った人も集まります。そもそも、その主からして妄想人狼狂なのですから、本質的には他の人と人狼観が合致することがほとんどありえないのです。

 

スナパイさんはやや頑固にも思える人狼ゲーム的なロジックで結さんは守りませんでしたが、スナパイ流の人狼術でロジックを駆使し、かおりんごさんを守ったんですね。僕はそれでこそスナパイさんだと思うし、かっこよかったと思いました。妄想で戦うやつもいれば、ロジックで戦うやつもいるんです。色々いて楽しいじゃないですか。

 

みいこさんは自分を守ってくれそうな人を選び、僕は守るどころか罠を仕掛けます。エイジさんが狂乱状態になっても、しょうこさんは冷静に狼を守りました。サンデーさんの推理は鋭いですが、のりたまさんはそこまで考えてはいません。そして、結さんが傷ついているから優しくしてと訴えかければ、スナパイさんは結さんを見捨てて別の形の勝利をつかみました。

 

いいですね、楽しいですね、僕はこういう人狼が好きなんです。噛みあってないようで噛みあっている。楽しい楽しい、どんちゃん騒ぎのイトキチ村でした。